複数の食物アレルギーがある場合に、複数の免疫療法をしても良いか?

Bégin P, et al. Safety and feasibility of oral immunotherapy to multiple allergens for food allergy. Allergy, Asthma & Clinical Immunology 2014; 10:1.

複数の食物アレルギーがある場合に、どうアプローチすればよいでしょう?

■ 1歳未満から5歳までピーナッツを継続して摂取させてピーナッツアレルギーを予防したLEAP研究後、1年間中断してもほとんどアレルギーを発症しなかったというLEAP-ON研究があります。

■ 一方で、5歳以降に卵アレルギーの免疫療法を4年間実施して、2か月間中断すると半数は再燃したという結果があります。

■ これが、年齢によるものなのか、食物抗原の違いによるものか、予防と治療の違いなのかははっきりしていません。

■ しかし、低年齢でただ漫然と除去食のみ続けていくのが良いのかどうかは、栄養の面からも好ましくないと考えるのが妥当ではないでしょうか?

■ そして低年齢で受診する乳幼児の多くが、複数の抗原に感作されています。単一の食物のみにとらわれずに、複数を負荷する場合があると言えましょう。

 

 

 40人の食物アレルギー患児に関し、単一の免疫療法、複数の免疫療法における安全性と効果を検証した。

背景

■ 食物アレルギー児の30%は、複数の食物にアレルギーがある。

■ 食物アレルギーにおける経口免疫療法(OIT)に対する先行研究は、単一のアレルゲン投与に焦点を当ててきた。

■ そこで、一度に複数の食品を使用するという、OITプロトコルの安全性を評価した。

 

方法

■ 参加者は、タンパク質182mgまで累積負荷する二重盲検プラセボ対照食物摂取(DBPCFC)を、ピーナッツに引き続き、ナッツ、ゴマ、乳製品、卵で実施された。

■ ピーナッツによる基準を満たしている参加者は、単一のアレルゲンによるOITを開始されたが、他のアレルギーを併発している参加者は、5種類までの混合したOIT食品により実施された。

■ 用量の漸増および家庭内での投与中の反応は症状日誌に記録された。

 

結果

■ 40人が、ピーナッツDBPCFCに関する基準を満たした。

■ これらのうち、15人はピーナッツのみにアレルギーがあり、25人は他に併発した食物アレルギーがあった。

論文から引用。参加者のフローチャート。

用量当たりの副反応率は、2群間に有意差はなかった(複数OIT群中央値3.3%、単一OIT群中央値3.7%; p = .31)

■ 両群において、大多数の反応は軽度であったが、各群においてエピネフリンを必要とする重度の反応が2回ずつ生じた。

per protocol解析では、複数OITはそれぞれの食物の同等の投与量に達するまでにより長い期間を必要とした(中央値+4日; p <.0001)が、用量の漸増は両群において同等だった。

論文から引用。複数の食物での経口免疫療法のほうが達成までの期間は長くかかっているが、達成までの増量ペースは変わらない。

 

結論

■ 今回の結果は、複数の食物アレルゲンを同時に投与する経口免疫療法が、訓練されたメンバーとの病院環境で実施された場合には、実現可能であり比較的安全であることを示唆する。

■ 複数食物を同時に行うOITの安全性と有効性を継続的に調査するためには、さらに大きなランダム化試験が必要である。

 

結局、何がわかった?

 ✅ピーナッツのみの免疫療法も、複数の食物に対する免疫療法も、副反応率も増量ペースも有意差はなかった。

 ✅ただし、きわめて少ない症例数であるため、さらに大きなランダム化比較試験を要する。

 

 

複数の食物に対し同時に行う免疫療法も選択肢といえるかもしれないが、まだまだ研究段階。

■ 例えば、1歳未満で初診され、複数の食物に感作されている乳児を診察することは稀ではありません。

■ 湿疹の既往がなければ、感作されている食物は多くはないようですが(卵のみ、乳のみなど)、湿疹の罹病期間が長いと複数の感作があり、難渋することも多いです。

■ さすがにソバや魚卵などは後回しになるでしょうが、卵、乳、小麦、大豆など複数に感作されているならば、複数にアプローチせざるを得ないでしょう。その際に参考になる研究結果と思います。

 

 

今日のまとめ!

 ✅単一の食物アレルギーに対する免疫療法も、複数の食物に対する免疫療法も、治療のペースに違いはないという結果だったが、まだ検討段階と言えよう。

 

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