Klopp A, et al. Modes of Infant Feeding and the Risk of Childhood Asthma: A Prospective Birth Cohort Study. The Journal of Pediatrics 2017; 190:192-9. e2.
母乳栄養が、アレルギー発症に影響するか?
■ 母乳栄養がアレルギーに対し予防的に働くのか、促進的に働くのか、それとも関係ないのか、いまだ結論は出ていません。
■ 最近は、「母乳の違い」によっても影響に差がでるのではないかと考えられています。
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■ 今回は、授乳方法によってもアレルギー発症に影響するかもしれないという報告です。
カナダの出生コホートに参加した3296人において、直接母乳、絞った母乳、人口乳で比較し、喘息発症リスクの違いを検討した。
目的
■ 乳児の異なる授乳方法(直接母乳と搾乳された母乳)が小児喘息に関連しているかどうかを調査する。
研究デザイン
■ Canadian Healthy Infant Longitudinal Development出生コホートで3296人の小児を調査した。
■ 最初の曝露は、生後3ヵ月の乳児栄養方法だった。すなわち、母親によって報告された、直接授乳のみ、搾乳された母乳・母乳および人工乳による授乳、人工乳のみに層別化された。
■ プライマリアウトカムは、訓練された医療者によって診断された3歳時の喘息であった。
結果
■ 生後3ヵ月では、授乳方法は直接授乳27%、一部の搾乳32%、母乳と人工乳26%、人工乳のみ15%だった。
■ そして、3歳時点で、12%の小児が喘息の診断、もしくは可能性があると診断された。
■ 直接母乳と比較して、授乳中の授乳のいずれかのモードは、喘息のリスク増加と関連していた。
■ これらの関連は、母の喘息、民族的背景、出生方式、性、妊娠期間、保育所入所で調整した後も持続した(搾乳母乳:調整オッズ比 [aOR] 1.64; 95%CI 1.12-2.39; 母乳と人工乳: aOR,1.73; 95% CI, 1.17-2.57; 人工乳のみ: aOR 2.14、95%CI 1.37-3.35)。
■ 母乳育児期間と呼吸器感染症に対して更に調整しても結果は同様だった。
結論
■ 乳児授乳方法は喘息発症に関連しており、直接母乳育児は、人工乳と比較して、喘息発症に対し最も防御的である。
■ 混合栄養はそれらの中間的な保護である。
■ 直接授乳を容易にして、さらに促進するという方針は、喘息の一次予防に影響を与えるかもしれない。
結局、何がわかった?
✅3歳時点での喘息発症に対し、直接母乳に比較し、搾乳母乳は1.64倍、混合乳 1.73倍、人工乳のみ 2.14倍、リスクが高かった。
母乳栄養に関し、アレルギー予防に対する結論を出すのは難しい。
■ 大規模のコホート研究で、母乳栄養が10歳までの喘息発症に影響していなかったという結果がありますが、搾乳という方法は思いつきませんでした。
■ 母乳に含まれるダニ抗原が子どもの感作に影響するといったびっくりするような結果も報告されており、母乳栄養とアレルギー疾患に関する情報はカオスだなあと思っています。
今日のまとめ!
✅喘息発症リスクは、直接母乳がもっともリスクが低かった。