Jolliffe DA, et al. Vitamin D supplementation to prevent asthma exacerbations: a systematic review and meta-analysis of individual participant data. Lancet Respir Med 2017; 5:881-90.
ビタミンDとアレルギー。
■ ビタミンDとアレルギー疾患に関して、いくつかの研究結果をご紹介してきました。
妊娠中と乳児期のビタミンD摂取は、乳児期のダニ感作や喘鳴を減らすかもしれない: ランダム化比較試験
妊娠中のビタミンDは、児のアトピー性皮膚炎発症リスクを下げるかもしれない: メタアナリシス
■ これらは、効果があるというものから有意差がないというものまで様々です。
■ 今回、Lancetの姉妹誌に、メタアナリシスが発表されていたのでご紹介いたします。
ビタミンDと気管支喘息発作の関係に関して検討した7研究(955人)を検討した。
背景
■ ランダム化比較試験の集計データによるメタ解析は、ビタミンD内服が全身性ステロイド治療を必要とする喘息増悪率を減少させることを示している。
■ この効果が試験開始時のビタミンD低値の患者に限定されるかどうかは不明である。
方法
■ データベース運用開始から2016年10月26日までに発表されたMEDLINE、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of Scienceを用いて、喘息増悪を報告した喘息患者のビタミンD3またはビタミンD2内服を検討した二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験を検索したうえで、システマティックレビューとメタアナリシス(1段階/2段階)を実施した。
■ 研究担当医から要請された個々の参加者データを年齢、性別、クラスタリングに合わせて分析した。
■ プライマリアウトカムは、全身性ステロイドによる治療を必要とする喘息増悪率だった。
■ 混合回帰モデルを使用して、95%CIを含めたプールされた介入効果を取得した。
■ 喘息増悪リスクに対するビタミンDの影響が、25-ヒドロキシビタミンD(25 [OH] D)濃度、年齢、民族または人種、BMI、ビタミンD投与計画、吸入ステロイドの使用、試験終了時の25(OH)Dレベルにより変化するかどうかを決めるために、サブグループ解析が実施された。
■ post-hocサブグループ解析は、性別および試験期間により実施された。
■ この研究はPROSPERO、番号CRD42014013953に登録された。
結果
■ 483研究が特定され、そのうち8つは無作為化比較試験(計1078人)であり、それぞれの参加者データを個別に検索し、7研究(955人)で検討された。
■ 全参加者に対し、ビタミンD内服は、全身ステロイドによる治療が必要な喘息増悪率を減少させた(調整罹患率比[aIRR] 0,74,95%CI 0,56-0,97; p = 0,03; 7研究;high-quality evidence)。
■ ビタミンD群とプラセボ群に、少なくとも1回の増悪率または最初の増悪までの期間に関し有意差を認めなかった。
■ 全身性ステロイドで治療された喘息増悪率に関するサブグループ解析は、試験開始時25(OH)D濃度が25nmol / L未満群では予防作用が認められた(aIRR 0.33,0.011-0,98; p = 0/046; 3研究92人;moderate-quality evidence)ものの、試験開始時の25(OH)D濃度が高い参加者では認められなかった(aIRR 0.77,0.58-1.03; p = 0.08; 6研究 764人、moderate-quality evidence; pinteraction = 0.25)。
■ 他のすべてのサブグループ解析については、相互作用におけるp値が0.05より大きかった。したがって、この介入の効果は、あるサブグループの効果が他のサブグループよりも強いことを示していない。
■ 6研究はバイアスリスクが低いと評価され、1研究バイアスが不明確であると評価された。 2段階のメタアナリシスでは、効果の異質性の証拠は明らかではなかった(I2 = 0.0、p = 0.56)。
解釈
■ ビタミンD内服は、全身性コステロイドによる治療を必要とする喘息増悪率を全体的に減少させた。
結局、何がわかった?
✅ビタミンD内服は、全身性コステロイドによる治療を必要とする喘息増悪率を減少させたが、その効果は試験開始時にビタミンD血中濃度が低い群の方が高いようだ。
ビタミンDとアレルギー・感染に関する報告は増えている。
■ ビタミンDの報告は増えていますが、結果が一貫していないようです。今回の検討では気管支喘息に対しステロイド全身投与をするリスクを減らすと言えそうです。
■ ただし、その効果は、もともとビタミンD血中濃度が低い群に強く認められ、その効果は人を選ぶということでしょう。
* 2018/1/4現在ではプレミア価格になっているので購入は控えたほうがよさそうですが、小児気管支喘息治療・管理ガイドラインが改訂されています。
今日のまとめ!
✅ビタミンD内服は2-3割程度、ステロイド内服を要する喘息発作を減らし、ビタミンD血中濃度が低いほうが有効性が高い。