Wei Z, et al., Maternal vitamin D status and childhood asthma, wheeze and eczema: a systematic review and meta-analysis. Pediatr Allergy Immunol 2016.[Epub ahead of print]
ビタミンDとアレルギー予防。
■ 最近、ビタミンDとアレルギーの関連に関する論文が増加しています(Allergy 2012; 67:10-7.)。
■ このブログでも、ビタミンDはアトピー性皮膚炎に効果がある、妊娠中のビタミンD補充は、児の喘息予防に効果不十分や、ビタミンDとアトピー性皮膚炎重症度は相関しないなどを提示してきました。
■ 今回は妊娠中の母体のビタミンDが児のアレルギー疾患に関連するかどうかのメタアナリシスです。
小児喘息に関する4研究(3666母児)
幼児期喘鳴に関する4研究(2225母児)
小児期湿疹に関する3研究(2172母児)
E: 母体のビタミンDの状態
C: -
O: 母体のビタミンDは、児の湿疹、喘鳴・喘息と関連するか
結果
■ 妊娠中の母体のビタミンDは、小児期湿疹と関連した(オッズ比[OR] 0.904;95%信頼区間[CI] 0.831~0.983)。
■ しかし、小児期の喘息(OR 0.981;95%CI 0.944-1.019)、幼児期の喘鳴(OR 0.995;95%CI 0.982~1.009)とは関連しなかった。
コメント
■ 母体のビタミンDは児の湿疹と関連があるとまとめることができます。
■ 研究の限界として、ビタミンDの評価(血清、臍帯血、食事量、サプリメント補給量)の方法が同一ではなく、食事・サプリメントの情報も主にアンケートに基づいており、リコールバイアスの可能性があるとされていました。
■ また、厳格な包含基準のために、研究数が制限されたことや、人種/民族性に関するデータが不足していたことも限界に数えられます。
■ 妊娠中の母体のビタミンDが、児のアレルギー発症に関連はありそうですが、母体にビタミンDを投与して児のアレルギーが予防できるかどうかはまだ分かりません。実際、上記に記載したとおり、母体にビタミンDを投与して、児の喘息を予防できなかったという報告や、児のビタミンD血中濃度とアトピー性皮膚炎の重症度との関連はなかったという報告もあります。