妊娠中と乳児期のビタミンD摂取は、乳児期のダニ感作や喘鳴を減らすかもしれない: ランダム化比較試験

Grant CC, et al. Vitamin D supplementation during pregnancy and infancy reduces aeroallergen sensitization: a randomized controlled trial. Allergy 2016; 71:1325-34.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27060679

 


ビタミンDとアレルギーに関しては、当ブログでも過去のいくつかの研究をご紹介してきました。

今回は、妊娠中からビタミンD摂取を開始して、さらに出生した児にもビタミンDを投与、しかも投与量で二群に分けた研究です。


 

P: オークランド(緯度36度)の妊婦 260人

E1: 妊娠27週から出生までの妊婦(1000IU/日)と、出生から年齢6ヵ月までの乳児(400IU/日)

E2: 妊娠27週から出生までの妊婦(2000IU/日)と、出生から年齢6ヵ月までの乳児(800IU/日)

C: プラセボ

O: 生後18か月時の各種感染症(風邪、中耳炎、上気道感染、クループ、喘息、気管支炎、細気管支炎、喘鳴をともなう下気道感染によるプライマリケア医受診)、ダニ感作(コナヒョウヒダニ[Der-f1、Der-f2]、ヤケヒョウヒダニ[Der-p1、Der-p2])。に差があるか

 

結果

服薬アドヒアランスは、妊娠中95%、乳児期86%だった。

特異的IgEは185/260人(71%)で測定された。

ダニ感作はそれぞれのコンポーネントごとで異なり、プラセボ群:低用量ビタミンD群:高用量ビタミンD群でそれぞれ、Der-f1(18%:10%:2%)、Der-f2(14%:3%:2%)、Der-p1(19%:14%:3%)とDer-p2(12%:2%:3%)だった。

医師によって診断された喘息でプライマリケア医に受診した率に群間差が認められた(11%、0%、4%、P = 0.002)が、他の呼吸器疾患の診断には有意差はなかった。

 

コメント

妊娠と乳児期のビタミンD投与は、生後18ヶ月時のダニ感作率を減らし、喘鳴を減らす可能性があるとまとめられます。

これまで、下記のようなビタミンDの報告をご紹介してきました。

・ 妊娠中のビタミンDは、児のアトピー性皮膚炎発症リスクを下げるかもしれない

妊娠中のビタミンDは、児のアトピー性皮膚炎発症リスクを下げるかもしれない: メタアナリシス

・ 母体のビタミンDは、児の湿疹リスクに関連する

母体のビタミンDは、児の湿疹リスクに関連する: メタアナリシス

・ ビタミンDとアトピー性皮膚炎治療: メタアナリシス

ビタミンDとアトピー性皮膚炎治療: メタアナリシス

  といった、ポジティブデータから、

・ ビタミンDとアトピー性皮膚炎重症度は相関しない

ビタミンDとアトピー性皮膚炎重症度は相関しない

・ 妊娠中のビタミンD補充は、児の喘息予防に効果不十分

妊娠中のビタミンD補充は、児の喘息予防に効果不十分(VDAARTスタディ): ランダム化比較試験

  といったネガディブデータまでいろいろです。

このように、ビタミンDに関しては相反する報告があり、どうしても腑に落ちない点があります。

これから、メタアナリシスなどでさらに評価されていくのでしょうか。

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