エキナセアによるインフルエンザ治療効果は、タミフルに劣らないかもしれない

 エキナセア(ムラサキバレンギク)に抗インフルエンザ効果があるそうです。そのランダム化比較試験。

■ エキナセアというのはムラサキバレンギクとも言う、ハーブの一種だそうです。

ムラサキバレンギク

■ 私はこの論文を読むまで全く知らなかったハーブですが、一部では有名なのだそうで、論文の中でも、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)からの抽出物は、インフルエンザウイルスへの活性が報告されていると書かれていました。

 

Rauš K, et al. Effect of an Echinacea-based hot drink versus oseltamivir in influenza treatment: a randomized, double-blind, double-dummy, multicenter, noninferiority clinical trial. Current Therapeutic Research 2015; 77:66-72.

発症48時間以下のインフルエンザ症状患者473人を、タミフル群、プラセボ群、エキナセア群にランダム化し、10日間フォローした。

背景

■ エキナセアは、in vitroにおいてインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性があり、伝統的に風邪やインフルエンザの治療に使用されてきた。

 

目的

■ ランダム化二重盲検二重ダミー多施設共同臨床試験により、エキナセア製剤とノイラミニダーゼ阻害剤であるオセルタミビル(インフルエンザ治療のゴールドスタンダード)とを比較した。

 

方法

■ インフォームドコンセントの上で、初期のインフルエンザ症状(48時間以下)の患者473人が、チェコ共和国のプライマリケアのセッティングでリクルートされた。

■ さらに、オセルタミビル(商品名; タミフル)5日間、プラセボ5日間、エキナセアパフュレアベースの製剤Echinaforce Hotdrink (A. Vogel Bioforce AG, Roggwil, Switzerland)10日間が投与された。

管理人注
注; Echinaforce Hotdrinkは、最初の3日間、5×5mLのEchinaforce Hotdrink verumシロップを約150mLのお湯に溶かしたもの、次の7日間は3×5mLを溶かしたものを飲むように指示されたそうです。

■ 軽快した患者(夕方に症状がないまたは軽度であると評価されたインフルエンザの症状)の率を、per protocolサンプルを用いてWilcoxon検定(有意水準α= 0.05 [両側] )により、治療群間の非劣性について分析した。

 

結果

Echinaforce Hotdrinkおよびオセルタミビルによる治療後、インフルエンザからの回復率は、1日後には1.5% vs 4.1%、5日後には50.2% vs 48.8%、10日後に90.1% vs 84.8%だった

論文から引用。それぞれの群の介入10日までの回復率。

■ 毎日および全体として、非劣性が証明された(95%CI 0.487-0.5265; generalized Wilcoxon test)。

■ ウイルス学的に確認されたインフルエンザウイルス感染群、ピーク時のインフルエンザ期間中における後方視的に分析では、非常に類似していた。

Echinaforce Hotdrinkでは、オセルタミビルよりも合併症の発生率が低く、Echinaforce Hotdrinkでは有害事象(特に悪心および嘔吐)が少なかった(2.46%vs 6.45%; P = 0.076)

論文から引用。エキナセア群の方が有意差はないものの胃腸症状の頻度が低い。

 

結論

Echinaforce Hotdrinkは、臨床的に診断され、ウイルス学的に確認されたインフルエンザウイルス感染の早期治療において、合併症および有害事象のリスクを低下させた上でオセルタミビルと同様に効果的である。

■ 特にセルフケアに適した魅力的な治療選択肢と思われる。

 

結局、何がわかった?

 ✅エキナセアによる飲料製品である「Echinaforce Hotdrink」によるインフルエンザに対する治療は、オセルタミビル(タミフル)と同等に効果的である。

 

 

民間療法にも、きちんとした研究手法を用いれば効果があるものを見つけることができるのかもしれない。

■ 「Echinaforce Hotdrink」そのものはAmazonなどでもヒットしませんでしたが、Googleで画像検索するとたくさんヒットしましたので、欧州では一般的なものかもしれません。

■ また、タミフルは比較的胃腸症状の副作用が多いと、最近のメタアナリシスでも指摘されています。

Safety and effectiveness of neuraminidase inhibitors for influenza treatment, prophylaxis, and outbreak control: a systematic review of systematic reviews and/or meta-analyses

■ エキナセアはその副作用が少ないこともアドバンテージと言えるかもしれません。しかし、エキナセアのみで治療をするというわけにもいかないでしょうから、インフルエンザに対して、タミフルなどの抗インフルエンザ薬に加えて、エキナセアティーやサプリメントを飲むとかがいいのかもしれませんね。

■ 麻黄湯に関しては、インフルエンザに有効かもしれないことがランダム化比較試験で示されています。

■ また、感冒における咳嗽にハチミツが有効であることは証明されていますし、こういった民間療法の中にも安全で有効な治療法があるのかもしれません。それらが、きちんとした証明がされてくれば良いなあと思いました。

 

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今日のまとめ!

 ✅エキナセアは、インフルエンザに有効かもしれない。

 

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