喘息のコントロールは、学校の成績に影響するかもしれない

Nilsson S, et al. Does asthma affect school performance in adolescents?–Results from the Swedish population‐based birth cohort BAMSE. Pediatric Allergy and Immunology 2018.[Epub ahead of print]

喘息は、学業成績に影響するか?

■ 喘息は、決して少なくない病気ですが、近年、治療の発達によりコントロールは劇的に改善しました。

■ しかし、十分な治療を受けておられない場合も多く、また、十分な加療を受けてもコントロールが困難な「難治性喘息」もあります。

コントロールが容易な喘息と難しい喘息を区別する要素は何か?

■ そして、コントロールできていない喘息が、成績に影響するかもしれないという報告が発表されました。

 

出生コホートから選択された1715人を、アンケートと臨床検査により16歳までフォローアップし、喘息コントロールと成績の関連を調査した。

背景

■ 児童における喘息は一般的であり、生活の質や学校の出席に影響を与える可能性がある。

■ しかし、喘息が学校の成績に影響しているかどうかは不明である。

■ この研究の目的は、喘息のさまざまなフェノタイプが思春期の学校の成績に影響を与えるかどうかを調査することだった。

 

方法

■ この研究は、populationベースの出生コホートからの思春期の青年1715人で構成され、アンケートと臨床検査により16歳までフォローアップされた。

■ 喘息に関しては、1) 最近12ヶ月間に少なくとも4回の喘鳴エピソード、もしくは、2) 吸入ステロイド薬を併用した少なくとも1回の喘鳴エピソードと定義された。

■ 学校の成績はスウェーデン統計局から得られた。

■ そして、ロジスティック回帰分析により、中学校からの最終的な成績と喘息フェノタイプとの関連を調べた。

 

結果

■ 参加した思春期の青年は、ever atshma (喘息歴) 20.8%、early transient(早期発症・一時的) 24.2%、chool-age onset (小学校時期発症) 47.2%、persistent asthma (持続性喘息) 24.2%に分類された。

■ 16歳時点で、7.8%が喘息に罹患していた。

■ 71.7%は複数の病的状態があり、アレルギー性喘息73.9%が含まれた。

喘息歴は、より低いパフォーマンスと有意に関連した(ORadj = 1.43,95%CI = 1.09-1.88)

■ 喘息発症時期の解析では、小学校時期発症(ORadj = 1.49、CI = 1.02-2.16)では有意に、持続性喘息では傾向として(ORadj = 1.61、CI = 0.98-2.66)、関連を認めた

■ さらに、コントロール不十分な喘息(ORadj = 1.12、CI = 0.68-1.83)や完全にコントロールされた喘息(ORadj = 1.29、CI = 0.55)と比較して、コントロールできていない喘息はパフォーマンスが低い傾向(ORadj = 2.60, CI = 0.87-7.80)だった。

 

結論

■ 今回の結果は、喘息が青年期における学校の成績を低下させることを示している。

■ そして、就学中の喘息に罹患している青年と喘息管理に劣った青年におけるパフォーマンスが、より不十分であることを示唆する、若干のエビデンスも示された。

 

結局、何がわかった?

 ✅喘息歴は、学業パフォーマンスを有意に関連した(ORadj = 1.43,95%CI = 1.09- 1.88)。

 ✅発症時期として、小学校時期発症(ORadj = 1.49、CI = 1.02-2.16)では有意に、持続性喘息では傾向として(ORadj = 1.61、CI = 0.98-2.66)、関連を認めた。

 ✅コントロールできていない喘息は、よりパフォーマンスが低い傾向があった(ORadj = 2.60, CI = 0.87-7.80)。

 

 

喘息は学業のパフォーマンスを低下させるかもしれない。

■ 喘息は、学校の成績を下げる可能性があり、特に喘息をコントロールできていない場合に大きくなる可能性がある、とまとめられます。

■ 普段の治療をきちんとしておくことが重要ではないかと改めて思いました。

 

今日のまとめ!

 ✅喘息が青年期における学校の成績を低下させるかもしれない。

 

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