妊娠中の葉酸高値は、児のアレルギー発症リスクにはならない

Roy A, Kocak M, Hartman TJ, et al. Association of prenatal folate status with early childhood wheeze and atopic dermatitis. Pediatric Allergy and Immunology 2018; 29(2): 144-50.

妊娠中の葉酸内服。

■ 妊娠中の葉酸は、二分脊椎の予防を考慮して内服を指導されることが多く、自閉症スペクトラム障害に予防的に働くという報告もあります。

妊娠前/中に母が葉酸やマルチビタミンを内服すると、子どもの自閉症スペクトラム障害が減るかもしれない

■ 一方、葉酸は、アレルギー疾患には増悪に働く可能性が示唆されているようです。

 

母児858組の妊娠中の母の葉酸血中濃度と、児の喘鳴やアトピー性皮膚炎発症との関連を調査した。

背景

■ 妊娠中の葉酸補充は、児の先天性異常を予防するために推奨されている。

■ 米国では、適齢期の女性において十分な摂取量を確保するために、一部の食品を強化している。

■ しかし、出生前の葉酸摂取が多いと、小児アトピー性疾患の危険因子となる可能性がある

■ そこで、米国のコホートにおいて、出生前葉酸と幼児期の喘鳴やアトピー性皮膚炎との関連性を調査した。

 

方法

■ 私たちは出生前に、858組の母児を登録した。

葉酸は第2および第3トリメスターにおける血漿で測定された。

■ 両親は、現在の喘鳴(current wheeze=過去12ヶ月)および3歳時点での医療者によるアトピー性皮膚炎の診断を報告した。

■ ロジスティック回帰を用い、葉酸を連続変数、かつ二群に層別化(20 ng / ml以上)して検討した。

 

結果

■ 女性の半数以上がアフリカ系アメリカ人であり、メディケイドだった。

■ 葉酸濃度の中央値(四分位範囲)は、第2および第3トリメスターでそれぞれ、22.6(15.9-30.0)および23.1(16.1-30.0)ng / mLだった。

■ 現在の喘鳴およびアトピー性皮膚炎は、それぞれ子供の20.4%および26.8%で報告された。

■ 連続曝露として検討した第2トリメスターでの葉酸は、有意な関連は認めなかった。

第2トリメスターでの葉酸≧20 ng / mLは、20 ng / mL未満と比較して、現在の喘鳴のオッズ比が低下した(調整オッズ比= 0.67,95%信頼区間= 0.46-0.97)。

第3トリメスターの葉酸は結果と関連しなかった

 

結論

妊娠中期の血漿中の葉酸高値は、3歳時の現在の喘鳴のオッズの低下と関連した。

■ 小児アトピー性疾患と妊娠中の葉酸高値は、有害ではないことを示している。

 

結局、何がわかった?

 ✅妊娠中の母の第2トリメスター時の葉酸高値(≧20 ng/mL)は、低値(20 ng/mL未満)と比較して、喘鳴のリスクが低下した(調整オッズ比= 0.67,95%信頼区間= 0.46-0.97)。

 ✅第3トリメスターの葉酸は関連無かった。

 

 

妊娠中の葉酸高値は、児のアレルギー疾患発症に関連しないようだ。

■ 葉酸が児のアレルギー疾患に関連する可能性を指摘する報告もあるようですが、今回の大規模コホートの結果では、否定されていました。

 

 

今日のまとめ!

 ✅妊娠中の葉酸は、児のアレルギー疾患の発症リスクはあげないようだ。

 

Instagram:2ヶ月で10000フォロワーを超えました!!!

Xでフォローしよう