Clausen M, et al. Fish oil in infancy protects against food allergy in Iceland–results from a birth cohort study. Allergy 2018. [Epub ahead of print]
魚とアレルギー疾患。
■ 以前、妊娠中の魚油が小児期の喘息リスクを減らすという報告をご紹介しました。
妊娠中の魚油摂取は、小児期の喘息を減らすかもしれない: ランダム化比較試験
■ 今回は、乳児期の魚油摂取が小児期の食物アレルギーリスクを減らすかもしれないという報告。
アイスランドの小児 1304人を出生から2.5歳まで追跡調査
背景
■ 妊娠中・授乳中・乳児期に、油の多い魚や魚油を摂取すると、小児期のアレルギー疾患の発症を減少させる可能性がある。
方法
■ 観察研究により、出生時および1,2歳時に魚油摂取に関する質問を含む詳細なアンケートを行ったうえで、アイスランドの小児 1304人を出生から2.5歳まで追跡調査した。
■ アレルギー検査または臨床歴により、食物アレルギーが示唆され食物アレルギーの疑いがあった児は、診察・アレルギー感作に対する検査・二重盲検プラセボ対照食物負荷試験を求められた。
■ さらに、比例ハザードモデルを用いて、出生後の魚油摂取の年齢/頻度に応じた食物感作の発症や食物アレルギーを確認した。
結果
■ 定期的な魚油摂取をした小児では、診断された食物感作の発症率は有意に低かった(相対リスク 0.51; 95%信頼区間 0.32~0.82)。
■ 食物負荷試験で確認された食物アレルギー発症率も減少したが、統計的には有意ではなかった(相対リスク 0.57; 0.30~1.12)。
■ 生後半年に魚油を摂取し始めた児は、それより後に開始した児よりも有意に予防されていた(感作に関しP = 0.05、アレルギーに関しP = 0.018)。
■ アレルギー重症度の指標も、魚油摂取の増加に伴い低下した(P = .013)。
■ 親の教育とアレルギーの家族歴で調整しても結果は変わらなかった。
結論
■ 出生後の魚油摂取は、乳児の食物感作および食物アレルギーのリスク低下に関連し、アレルギー予防のための介入戦略を提供する可能性がある。
結局、何がわかった?
✅乳児期からの定期的な魚油摂取すると、2歳半での食物感作の発症率が有意に低下した(相対リスク:0.51; 95%信頼区間 0.32~0.82)。
魚油とアレルギーの関連。
■ 魚に関しては、アレルギー疾患の予防するかもしれないという報告があり、ブログでもいくつかご紹介してきました。
妊娠中・乳幼児期の魚摂取は、アレルギー疾患を予防するのか?: システマティックレビュー&メタアナリシス
■ 魚油はω3多価不飽和脂肪酸が多く含まれ、アレルギー炎症を減らすという機序が考えられており、母乳中の多価不飽和脂肪酸から検討した報告もあります。
母乳中の多価不飽和脂肪酸と、子どものアレルギー疾患発症には関連があるか?
今日のまとめ!
✅乳幼児期の魚油は、食物アレルギー予防に働くかもしれない。