マリンスポーツを頻繁にすると、納豆アレルギーのリスクになるかもしれない

Inomata N, et al. Surfing as a risk factor for sensitization to poly (γ-glutamic acid) in fermented soybeans, natto, allergy. Allergology International 2017. [Epub ahead of print]

納豆アレルギーとクラゲ刺傷。

■ 納豆アレルギーは、大豆アレルギーとは異なり、ポリγグルタミン酸という納豆のネバネバ成分に多く含まれる蛋白で誘発されます。摂取後、半日程度経過してから誘発されるため、判定が難しいことが知られています。

Late-onset anaphylaxis to Bacillus natto–fermented soybeans (natto)

■ 一方、クラゲに刺されると、ポリγグルタミン酸に対し感作されて、納豆アレルギーを発症するという報告もあります。

Anaphylaxis caused by ingesting jellyfish in a subject with fermented soybean allergy: possibility of epicutaneous sensitization to poly-gamma-glutamic acid by jellyfish stings.

■ そうすると、マリンスポーツをよくする人の方が、納豆アレルギーになりやすいかも、、、という報告。

 

 

納豆アレルギー群と納豆アレルギーでない群に関し、マリンスポーツとの関連を検討した。

背景

ポリγ-グルタミン酸(Poly-γ-glutamic acid; PGA)は、発酵した大豆食品である納豆中のアレルゲンであり、遅発性アナフィラキシーを引き起こす。

■ 我々は、サーファーがPGAを含む納豆とクラゲの両方にアレルギーがあったため、クラゲ刺傷は成人をPGAに感作させると仮説を立てた。

■ この研究の目的は、PGA感作に関連するマリンスポーツなどの行動要因を特定することだった。

 

方法

■ 関連する病歴、皮膚試験陽性および/または食物負荷試験に基づいて食物アレルギーと診断された外来患者は、2016年の定期受診中にアンケートに回答した。

 

結果

■ 140人の外来患者からのアンケートを解析し、納豆アレルギー群(M:F = 10:3、平均年齢40.6歳)と納豆アレルギーでない群(127例、M:F = 46:81、平均年齢44.5歳)の二群に分けられた。

■ 納豆アレルギーの患者はすべて、PGAに対する皮膚プリックテストおよび好塩基球活性化試験が陽性だった。

■ 92.3%がマリンスポーツを趣味としており、特にサーフィン(84.6%)だ多かった。

PGAに対する感作は、男性や海水浴には関連していなかったが、男性や海水浴で調整したマリンスポーツと独立して関連していた(オッズ比 278.0; 95%CI 36.9-6315.9、p <0.001)

■ また、納豆アレルギー群と納豆アレルギーでない群にマリンスポーツの経験に有意差はなかったが、納豆アレルギー群は納豆アレルギーでない群よりもマリンスポーツに有意に参加していることがわかった(p <0.001)

論文から引用。

マリンスポーツ経験で各グループを層別化。納豆アレルギー群は、マリンスポーツの経験が納豆アレルギーでない群と比較して有意に高かった(p <0.005)。

■ 納豆の消費量とPGA感作に有意差はなかった。

 

結論

■ サーフィンは、納豆アレルギー患者のPGA感作のリスク因子である。

 

結局、何がわかった?

 ✅納豆アレルギー患者は、全員、ポリγグルタミン酸に感作されており、マリンスポーツと関連した。

 ✅マリンスポーツ歴のみでは、納豆アレルギーと関連しなかったが、頻回のマリンスポーツの参加は納豆アレルギーのリスク因子になった。

 

 

思いがけない交差抗原。

■ 交差抗原は思いがけないところに存在します。

■ これまでも、ネコと豚肉、エビとゴキブリなどをご紹介してきました。もちろん、ネコアレルギーだったら、全員豚肉アレルギーになるという訳ではありませんよ。

ネコアレルギーは、豚肉アレルギーの原因になるかもしれない(pork-cat症候群): 症例集積研究

エビとゴキブリは、アレルゲンとして関連するかもしれない

 

 

今日のまとめ!

 ✅マリンスポーツ(特にサーフィン)は、納豆アレルギーの発症リスクになるかもしれない。

 

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