成人での治りにくい副鼻腔炎発症を、小児期に予測できるか?

Chang EH, et al. Early life risk factors for chronic sinusitis: A longitudinal birth cohort study. The Journal of allergy and clinical immunology 2018; 141(4): 1291-7.

慢性副鼻腔炎は小児期によく診られる疾患です。

■ 慢性副鼻腔炎は、アレルギー性鼻炎があるお子さんにもよく診られます。では、その副鼻腔炎は、成人期にまで影響するでしょうか?

 

前向きコホート試験に参加し副鼻腔炎と診断された6歳児のリスク因子が、22~32歳時の副鼻腔炎のリスクに影響するかどうかを評価した。

背景

■ 慢性副鼻腔炎は、末期には副鼻腔粘膜に不可逆的変化をしばしば呈する、成人においてよく診断される病態である。

■ 慢性副鼻腔炎の自然経過を理解することは、疾患の進行を予防または遅らせるための治療法を開発する上で重要である。

 

目的

■ 前向きコホート研究(Tucson Children's Respiratory Study)における成人の副鼻腔炎における、初期のリスク因子を決定しようとした。

 

方法

■ 医師により診断された副鼻腔炎が6歳で報告された

■ 22歳から32歳の成人の副鼻腔炎は、自己報告された副鼻腔炎および医師がオーダした副鼻腔のレントゲンフィルムによる診断と定義された。

■ アレルゲン感作は皮膚プリックテストによって評価され、4種類のフェノタイプに分類された。すなわち、副鼻腔炎 621人一過性小児副鼻腔炎 57人遅発性成人副鼻腔炎 68人早期発症慢性副鼻腔炎(小児および成人副鼻腔炎 26人)の4種類である。

 

結果

副鼻腔炎は小児の10.8%、成人の12.2%にみられた。

小児期の副鼻腔炎は、成人における副鼻腔炎の最も強い独立したリスク因子だった(オッズ比= 4.2; 95%CI:2.5-7.1; P <.0001; n = 772)

小児期早期発症の慢性副鼻腔炎は、生後9ヶ月での血清IgE抗体価上昇、皮膚プリックテストにより評価されたアレルゲン感作、小児期湿疹/アレルギー性鼻炎、頻回の風邪罹患、母の喘息、喘息の同時罹患と関連していた。

■ 後期発症の成人副鼻腔炎と、検討された初期のリスク因子に、関連性は見出されなかった。

 

結論

■ 早発発症慢性副鼻腔炎は、ウイルス感染や風邪になりやすい素因、アレルギー、喘息に関連することが確認された。

■ このフェノタイプに対する分子機構の解明は、成人の副鼻腔炎への進行を予防するための将来の治療につながる可能性がある。

 

結局、何がわかった?

 ✅小児期の副鼻腔炎があると、成人での副鼻腔炎発症に強く関連する、独立したリスク因子だった(オッズ比 4.2; 95%CI:2.5-7.1; P <.0001)

 ✅小児期の副鼻腔炎は、ウイルス感染や風邪になりやすい素因、アレルギー、喘息があると発症しやすかったが、成人期の副鼻腔炎発症リスクにはならなかった。

 

 

小児期の慢性副鼻腔炎は、成人期まで持ち越されるようだ。

■ あくまで慢性副鼻腔炎の話ではありますが、長引く副鼻腔炎を診断した場合は、その後も留意いただくようにお話した方がよさそうですね。

 

 

今日のまとめ!

 ✅小児期に慢性副鼻腔炎にかかると、成人期に慢性副鼻腔炎になるリスクが4.2倍になる。

 

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