Prescott SL, et al. A global survey of changing patterns of food allergy burden in children. World Allergy Organization Journal 2013; 6:1.
食物アレルギーは、現在どれくらいの有症率になっているのか?
■ 食物アレルギーは、増えていると考えられていますが、国や地域によっても有症率に差があることがわかっています。
■ 日本の食物アレルギーは、どれくらいの立ち位置なのでしょうか?
2012年、世界アレルギー機構により、世界89ヶ国における食物アレルギーの有病率が調査された。
背景
■ 食物アレルギーや湿疹は、世界の多くの国で、小児における最も一般的な慢性非感染性疾患であるが、特に発展途上国では、これらの疾患の負担に関し質の高いデータが不足している。
方法
■ この2012年の調査は、World Allergy Organization(WAO;世界アレルギー機構)の加盟組織および周辺国の一部を調査することで、グローバルな食物アレルギーのパターンと有病率に関する情報を収集するために実施された。
結果
■ 公表されたデータ、食物アレルギーの医療費の変化を含んだ、89カ国からのデータが収集された。
論文から引用。調査された国と地域。
■ 調査対象国の半分以上(89ヶ国中52ヶ国)に食物アレルギーの有病率に関するデータがなかった。
■ 食物経口負荷試験(oral food challenges; OFC)に基づく正確な食物アレルギー有病率のデータが得られた国はわずか10%(89ヶ国中9ヶ国)だった。
■ 残りの国々(89ヶ国中23ヶ国)は、食物アレルギーの診断または保護者の症状報告に基づくデータが主であり、食物アレルギーの有病率を過大評価するとされた。
■ より正確な尺度に基づくと、先進国の就学前児における臨床的な(OFCにより証明された)食物アレルギーの有病率は現在10%と高い。
■ アジアにおいて急速に新興しつつある、例えば中国などでは、食物アレルギーの増加が報告されている。
■ OFCで証明された食物アレルギーの有病率は、就学前の頃には現在約7%であり、ヨーロッパ地域での有病率に匹敵する。
論文から引用。5歳未満の食物アレルギー有症率。
食物負荷試験による食物アレルギー(黒); 症状と感作による(グレー); アンケート/保護者の報告(黄色)に基づく食物アレルギー有症率を示す。
論文から引用。5歳以上の食物アレルギー。
論文から引用。全年齢での食物アレルギーの有症率。
■ 過去10〜15年で先進国と途上国の両方で食物アレルギーが増加しているように見えるが、質の高い比較できるデータは不足している。
■ このアンケート調査では、小児アレルギーサービス、アドレナリン自己注射器(エピペン)、標準化された全国アナフィラキシーアクションプランの不公正性が強調されている。
結論
■ 食物アレルギーにおける、コミュニティおよび保健サービスの増加している負担をよりよく予測し対処するために、多くの先進国や途上国の食物アレルギー有病率に関し、より正確なデータを収集する必要がある。
結局、何がわかった?
✅食物アレルギーの有症率は世界的に増加しているようだが、食物アレルギー有病率のデータが得られた国は10%(89ヶ国中9ヶ国)しかなかった。
✅食物負荷試験により証明された国や地域は少ないが、先進国における就学前児の臨床的な(OFCにより証明された)食物アレルギーの有病率は10%程度と高い。
先進国における食物アレルギーは1割程度と高い。
■ 食物アレルギーに対する対応が、臨床現場で困っていることのひとつでしょう。
■ 今後、早期離乳食開始などで減少してくることが期待されています。
離乳食早期導入と食物アレルギー予防(第1回/全4回)~イントロダクション~
今日のまとめ!
✅食物アレルギーの有症率は先進国で10%程度あり、現在も世界的に増加している可能性がある。