リンゴアレルギーでも、経口免疫寛容は誘導できるかもしれない

シラカバやハンノキ花粉症に合併するリンゴ口腔アレルギー症候群。

■ リンゴは、シラカバ(北海道や長野に多い)、ハンノキ(本州に多い)と交差し、口腔アレルギー症候群を起こすことがあります。

口腔アレルギー症候群は、現在では花粉との交差反応性により新鮮な果物や野菜を摂取して生ずるものとして、「pollen-food allergy syndrome(PFAS)」と呼ばれる様になっています

■ 口腔アレルギー症候群に対しては、治療が確定した方法はありません。一部、シラカバ花粉を用いた免疫療法が報告されていますが、賛否両論ですし、本邦ではそもそもシラカバ花粉の免疫療法の製剤が存在しません。

■ そこで、リンゴそのものを摂取してリンゴが食べられるようになったかという報告をご紹介します。

 

Kopac P, et al. Continuous apple consumption induces oral tolerance in birch‐pollen‐associated apple allergy. Allergy 2012; 67(2): 280-5.

シラカバ花粉による鼻炎・結膜炎、リンゴに対する口腔アレルギー症候群がある40人に対し、リンゴを段階的に増量し、摂取できるようになるかを検討した。

背景

■ シラカバ花粉アレルギー(主要アレルゲン:Bet v 1)患者は、交差反応性アレルゲンであるMal d1を含むリンゴに関連した口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome; OAS)を発症することが多い。

■ シラカバ花粉免疫療法が成功が、リンゴ関連口腔アレルギー症状を改善するかどうかに関し一貫した結果になっていないが、定期的なリンゴ摂取がOASおよびMal d 1/Bet v 1アレルギーにおける免疫学的パラメータに影響を及ぼすかどうかを評価した。

 

方法

シラカバ花粉による鼻結膜炎およびリンゴに対するOASに明らかな病歴を有する40人は、ランダム化比較臨床試験に参加した。

27人は、リンゴ(1〜128g)を毎日摂取し、 13例は未治療のままとした

■ プライマリエンドポイントは、研究終了である8ヶ月後に少なくともリンゴ128gに対する耐性を達成した患者の率だった。

■ 探索的エンドポイントは、交差反応食物および花粉アレルギーの症状、シラカバ花粉およびBet v 1による結膜負荷試験、ならびにin vitro試験(総IgE、Mal d 1およびBet v 1に対する特異的IgE抗体価およびIgG4;両アレルゲンに対する好塩基球活性化試験)。

 

結果

介入群の27人中17人および対照群の13人中1人は、介入後にリンゴを摂取できるようになった(P = 0.0001)

論文から引用。

■ しかし、免疫反応性を反映するエンドポイントには統計的有意差は認めなかった

 

結論

■ リンゴに対するOASの患者では、リンゴの摂取を段階的に増加させると耐性を安全に誘導することができる。

■ しかし、リンゴ摂取量を少なくした後の再発が観察され、免疫学的変化が欠如していることは、誘導された免疫寛容が一過性であることを示唆している。

 

結局、何がわかった?

 ✅シラカバ花粉による鼻炎・結膜炎、リンゴに対する口腔アレルギー症候群に対し、リンゴを段階的に増量して摂取させると27人中17人が摂取可能になった。

 ✅しかし、免疫学的反応を示唆するデータは有意差を認めなかった。

 

 

果物による口腔アレルギー症候群に対して、確定した治療法はないが、ひとつのアプローチ方法なのかもしれない。

これでリンゴが食べられるようになる、、は早計のようで、中断すると再燃してしまうこと、またリンゴ以外(この場合シラカバ花粉)のアレルギーも良くするかどうかは望みが低いという結果でした。

■ しかし、リンゴの口腔アレルギーでも、どうしても食べたい、、その場合には考慮すべき報告なのかもしれません。

 

 

今日のまとめ!

 ✅リンゴによる口腔アレルギー症候群に対し、リンゴの経口免疫療法は有効である可能性はあるが、中断すると再燃する可能性がある上、他の関連したアレルギーも改善させるというエビデンスはない。

 

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