
Fernández‐Rivas M, et al. Randomized double‐blind, placebo‐controlled trial of sublingual immunotherapy with a Pru p 3 quantified peach extract. Allergy 2009; 64:876-83.
果物アレルギーに対する治療は?
■ 果物アレルギーは決して少なくないながら果物そのものによる有効な治療の報告は少なく、めぼしいものはシラカバ花粉に併発したリンゴアレルギーに対し、経口免疫療法をこころみた報告がある程度と思っています。
■ そこで、桃アレルギーに対し、桃抗原をつかって舌下免疫療法を実施した報告をご紹介いたします。
桃アレルギーに対し、桃の主要抗原であるPru p3の抽出物を用いて舌下免疫療法を6ヶ月行い、有効性を評価した。
背景
■ 桃アレルギーは地中海地域において非常に一般的であり、さらに永続的かつ潜在的に重篤であるため、免疫療法の主要なターゲットである。
■ そこで、桃の脂質移行タンパク質であるPru p 3を質量単位で定量した桃抽出物を用いて、舌下免疫療法(sublingual immunotherapy; SLIT)の有効性および安全性を研究することを目的とした。
方法
■ ランダム化二重盲検プラセボ対照(double‐blind, placebo‐controlled; DBPC)臨床試験。
■ 有効性のプライマリアウトカムは、桃を用いたDBPC食物チャレンジ(DBPC food challenge; DBPCFC)に対する反応の変化だった。
■ 有効性のセカンダリアウトカムは、皮膚プリックテスト(skin prick test; SPT)と、Pru p3特異的IgE抗体価およびIgG 4抗体価の変化だった。
■ 耐性は、有害事象の注意深い記録を用いて評価した。
結果
■ SLITの6ヶ月後、介入群は、桃の摂取許容量が有意に増加し(3~9倍)、SPTが有意に減少し(5.3倍)、Plu p3特異的IgEおよびIgG4が有意に増加した。
■ プラセボ群では有意な変化は認められなかった。
■ SPTおよびIgG4の反応性においてのみ統計的に有意な群間差が観察された。
■ 重篤な有害事象は報告されなかった。
■ 全身的な有害事象は軽症であり、両群において頻度は同様だった。
■ 局所反応は、介入群において有意に頻繁(3倍)に認められたが、95%は口腔内に限定された。
結論
■ この最初の探索的な臨床試験では、桃アレルギーに対するSLITは、桃の摂取量に対する臨床的な反応性や良好な耐性を示す基本的な免疫応答を変えることができる、有望な治療選択肢であるようである。
結局、何がわかった?
✅桃の主要抗原であるPru p3で舌下免疫療法を6ヶ月実施すると、桃の耐容量が有意に増加(3~9倍)、皮膚プリックテストが有意に減少(5.3倍)、Plu p3特異的IgEおよびIgG4が有意に増加した。
果物に対し、舌下・経口免疫療法は一定の効果が期待できそうだ。
■ 桃に対する舌下免疫療法、リンゴに対する経口免疫療法ともに有効性はありそうという結果です。
■ ただし、問題はその耐性の維持でしょう。経口免疫寛容で誘導されるのは脱感作(摂取継続すれば維持できる)であり、中断すると再燃しやすいのです。
■ 桃やリンゴを継続して摂取することができるかどうか?に有効性の維持がかかっていることを考えると、実施には慎重にならざるをえないように思います。
今日のまとめ!
✅桃の抗原(Pru p3)に対する舌下免疫療法は有効だった。ただし、その維持には問題がのこるかもしれない。