Totte JE, et al. Prevalence and odds of Staphylococcus aureus carriage in atopic dermatitis: a systematic review and meta-analysis. The British journal of dermatology 2016; 175(4): 687-95.
黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎が悪化すると定着し、増悪因子になる。
■ 黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎の重症度が高いほど、その密度は高くなると報告されています。
■ そして、黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎の悪化要因にもなります。
■ しかし、その保菌率は報告により差があり、今回そのメタアナリシスをみつけたのでご紹介いたします。
アトピー性皮膚炎患者の皮膚および鼻腔の黄色ブドウ球菌コロニー形成率およびオッズを評価するするため、システマティックレビューを実施した。
背景
■ 黄色ブドウ球菌は、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis ;AD)の病因に対し可能性のある原因として、さらにリンクされている。
■ しかし、既報の皮膚および鼻腔コロニー形成率は、文献で大きく異なっている。
目標
■ この研究では、AD患者の皮膚および鼻腔の黄色ブドウ球菌コロニー形成率およびオッズを評価する。
方法
■ システマティックな文献検索が行われた。
■ 患者群vs対照群のコロニー形成と、患者におけるコロニー形成率のオッズ比(OR)を、ランダム効果モデルを用いてプールした。
結果
■ 全体として、観察研究95研究が含まれ、そのうち30研究がが対照群を有していた。
■ ニューカッスル・オタワ尺度を用いて研究の質を評価し、質の低いものからまずまずなものまで評価された。
■ AD患者は健常対照よりも黄色ブドウ球菌が定着する可能性が高かった (OR 19.74, 95%信頼区間[CI]10.88-35.81)。
■ その差は、非病変部位(OR 7.77,95%CI 3.82~15.82)や鼻腔内では小さかった(OR 4.50,95%CI 3.00~6.75)。
論文より引用。アトピー性皮膚炎患者は黄色ブドウ球菌を保菌するリスクが高い。
■ AD患者における黄色ブドウ球菌コロニー形成のプールされた罹患率は、病変部位では70%、非病変部位では39%、鼻腔では62%であった。
■ 病変の皮膚において、メタレグリションは病巣の重症度とともに定着が増加することを示した。
■ 結果を解釈する際には、研究の異質性を考慮する必要がある。
結論
■ この検討結果はは、ADにおける黄色ブドウ球菌によるコロニー形成の重要性を示している。
■ 黄色ブドウ球菌が炎症に影響を及ぼす機序を更に評価することは、皮膚や鼻腔の黄色ブドウ球菌量を減少させるターゲット戦略の発展に加え必要である。
結局、何がわかった?
✅アトピー性皮膚炎患者は健常対照よりも黄色ブドウ球菌が定着する可能性が高かった (OR 19.74, 95%信頼区間[CI]10.88~35.81)。
✅AD患者における黄色ブドウ球菌コロニー形成のプールされた保菌率は、病変部位では70%、非病変部位では39%、鼻腔では62%だった。
黄色ブドウ球菌の保菌率をつかんでおくことも大事でしょう。
■ 小児に対する実際の臨床でも、黄色ブドウ球菌保菌率はこれくらいといえるのではないでしょうか?
■ 健常対照に比較して、大きく黄色ブドウ球菌保菌率はあがり、他のアレルギーも発症させやすくなるといえるでしょう。
今日のまとめ!
✅アトピー性皮膚炎の病変部位では黄色ブドウ球菌保菌リスクが約20倍になり、病変部位では70%、非病変部位では39%、鼻腔では62%保菌する。