解熱鎮痛薬は、坐薬と内服、どちらがより効果的?:メタアナリシス

解熱鎮痛薬は、坐薬と内服のどちらを選ぶ?

■ 小児科医であるアシュア先生の記事を、いつも綺麗にまとまっていていいなあと思いながら読んでいたところ、「坐薬と内服での差に関する論文はなさそう」とありました。

解熱薬、優れているのはどれ? 座薬 VS 粉薬 VS シロップ

(アシュア先生のブログは、毎回丁寧に掘り下げてあるのでおすすめです)

■ だいぶん前に「差がない」という論文を読んだなあと再度さがすと、メタアナリシスがありました。なお、この論文の前は坐薬より内服のほうがむしろ効果が高いという報告もあります。

 

Goldstein LH, et al. Effectiveness of oral vs rectal acetaminophen: a meta-analysis. Arch Pediatr Adolesc Med 2008; 162:1042-6.

解熱に対する検討を行った4研究のメタアナリシスを実施し、坐薬と内服薬の有効性を検討した。

目的

■公表された研究に基づき、発熱や痛みの治療としての経直腸 vs 経口のアセトアミノフェンの有効性を決定する。

 

データソース

■ MEDLINE、PubMed、Cochraneデータベースならびに主要な薬理の教科書および含まれているすべての研究の参考文献を検索し、アセトアミノフェンの経口および経直腸投与を比較する研究を行った。

 

研究の選択

■ アセトアミノフェンの経直腸投与および経口投与と比較したランダム化および準ランダム化比較研究を使用した。

■ 併用療法や追加薬を比較したレビュー、短報、研究は除外した。

 

主な曝露

■ 経口と経直腸投与のアセトアミノフェン。

 

主な結果のための検査

■ 体温と痛みの軽減における標準化された測定値。

 

結果

■ 体温をさげるための4研究が包含基準を満たした

アセトアミノフェン投与1時間後の体温の低下は、経直腸投与と経口投与に差はなかった(加重平均差[WMD]、-0.14℃; 95%信頼区間[CI] -0.36℃~0.08℃; P= .49)

投与3時間後の体温の低下(WMD、-0.10℃; 95%CI -0.41℃〜0.21℃、P = .84)、最大の体温低下(WMD、-0.10 95℃、95%CI、-0.24℃~0.04℃、P> .99)、1℃の体温低下する平均時間(WMD、-0.06℃; 95%CI -1.34℃〜 1.23℃; P <.001)も有意差がなかった

■ 経直腸および経口のアセトアミノフェンと痛みの軽減を比較したメタアナリシスは、包含基準を満たしたのは1試験のみだったため実施しなかった。

 

結論

■ 経直腸および経口アセトアミノフェンは、体温低下に関して効果は同等である。

■ 小児に対する経直腸アセトアミノフェンを控えるアメリカ小児科学会の勧告は、おそらく改訂されるべきである。

 

結局、何がわかった?

 ✅アセトアミノフェン坐薬・内服に体温低下に関する効果は変わらなかったが、痛みに関してはメタアナリシスができなかった。

 

小児に対するアセトアミノフェンは、坐薬でも内服でも効果は変わらないようだ。

■ 「坐薬のほうが効果が高い」「いやいや内服のほうが」という論調もあると思いますが、現状では「どちらでも使いやすい方で構わない」にまとめて良いと思います。

■ こまかい使い分けはアシュア先生のブログ記事をどうぞ。

 

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今日のまとめ!

 ✅こどもの解熱薬として汎用されるアセトアミノフェンは、坐薬でも内服でも有効性に差はないようだ。

 

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