気温変動と呼吸器疾患の関連における報告をご紹介します。
■ 気温変動があると体調を崩しやすいもので、例えば気温変動は喘息発作に関連するという報告があります。
■ その、気温変動と呼吸器疾患の関連を検討したコホート研究結果が、Thoraxに発表されていました。小児ではなく高齢者に関するデータです。
Sun S, et al. Seasonal temperature variability and emergency hospital admissions for respiratory diseases: a population-based cohort study. Thorax 2018; 73(10): 951-8.
65歳以上の高齢者66820人における前向きコホートにより、気温変化と呼吸器疾患による入院リスクの関連を検討した。
背景
■ 気候変動はグローバルに平均気温を上昇させ、短期(例えば日中)や長期(例えば季節内)の気温変動性を変化させる。
■ 数多くの研究により、平均温度や短期的な気温の変動性は、呼吸器疾患の罹患率や死亡率の増加と関連していることが示されている。
■ しかし、長期的な気温変動の影響に関するデータはあまりない。
目的
■ 高齢者の呼吸器疾患による入院と季節内の気温変動との関連性を評価することを目的とした。
方法
■ 65歳以上の高齢者66820人の、中国におけるプロスペクティブ高齢者コホートにおける10〜13年のフォローアップにより、呼吸器疾患による最初の緊急入院の発生を確認した。
■ 香港の22の気象観測所の計測に基づき、一般的なクリギング法を使用し参加者の居住地ごとに毎日の気温を空間的に補間した。
■ 季節的な気温変動は、夏(6月〜8月)または冬(12月〜2月)の毎日の平均気温として定義された。
■ さらに、Cox比例ハザード回帰を、季節な気温変動を経時的に受けた呼吸器疾患による入院に適用した。
結果
■ フォローアップ期間中、呼吸器疾患 12689例を確認した。
■ うち6672人が肺炎で、3075人がCOPDだった。
■ 冬季の気温変動1℃あたりのハザードリスク(HRs)は、呼吸器疾患、肺炎、COPDにおいてそれぞれ、1.20(95%CI 1.08-1.32)、1.15(1.01-1.31)、1.41(1.15-1.71)だった。
■ これらの関連性は、夏季の気温変動に対しては統計的に有意ではなかった。
結論
■ 冬期の気温変動は、呼吸器疾患のインシデントリスクが高いことと関連していた。
結局、何がわかった?
中国における65歳以上の高齢者66820人の前向きコホート研究において、
✅冬季の気温変動1℃あたりのハザードリスクは、呼吸器疾患 1.20倍(95%CI 1.08-1.32)、肺炎 1.15倍(1.01-1.31)、COPD 1.41倍(1.15-1.71)と推定された。
✅一方、夏季の気温変動においては関連性は認めなかった。
冬季の気温変動は、高齢者の入院リスクを高める。
■ 小児での検討ではありませんが、冬期の気温変動は小児期にも影響しそうですね。
■ 最近、気温の変化が激しくなっていますし、皆様体調にはご配慮下さいね。
今日のまとめ!
✅冬季の気温変化は、高齢者の呼吸器疾患による入院リスクを高めるが、夏季では同様の現象を認めなかった。