乳児期早期の予防接種が、白血病の発症リスクをさげるという報告があるそうです。
■ いままで特に意識してこなかったのですが、予防接種が白血病に対する予防効果があるという報告が複数あるようです。
■ たまたま別の論文をさがしていたときに見かけたメタアナリシス。まだ機序はよくわかっていないようですが、、
Morra ME, et al. Early vaccination protects against childhood leukemia: A systematic review and meta-analysis. Scientific reports 2017; 7:15986.
乳児期早期の予防接種とその後の白血病発症リスクを検討した14研究のメタアナリシスを実施した。
背景
■ 白血病は、最も一般的に診断された小児がんであるが、その病因は依然としてほとんど知られていない。
■ 増えているエビデンスは、急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia; ALL)の病因における感染の役割を支持しており、免疫系の関与は、ワクチン接種がまた役割を果たす可能性があることを示唆している。
■ しかし、出版された文献に示された知見には一貫性がない。
方法
■ そこでPRISMAのシステマティックレビューとメタアナリシスを行った。
■ 結果として、14研究を同定し、メタアナリシスを実施した。
■ ワクチンに関し、BCG(Bacillus Calmette-Guerin)ワクチン、3種混合ワクチン、B型肝炎ワクチン(HBV)、ポリオ、麻疹、風疹、流行性耳下腺炎、3価MMRワクチン、HiBワクチンを調査した。
結果
■ 生後1歳までの予防接種と小児白血病のリスクに予防的な関連性を観察した(サマリーオッズ比(OR)0.58 [95%信頼区間(CI)0.36-0.91])。
■ 個々のワクチンを解析すると、BCGについてのみ関連性のあるエビデンスを認めた(サマリーオッズ比 0.73 [95%CI 0.50-1.08])。
結論
■ 結論として、乳児期早期の予防接種は、小児白血病のリスクの低下と関連していると考えられた。
■ この知見は、BCGで観察された関連によって支えられている可能性がある。
■ このメタアナリシスの結果が比較的不明瞭な性質であることを考慮すると、この知見は慎重に解釈される必要があり、さらなる研究に追試されるべきである。
結局、何がわかった?
✅ 生後1歳までの予防接種は、小児期の白血病発症リスクを低下させる(サマリーオッズ比 0.58 [95%信頼区間 0.36-0.91])。
乳児期早期の予防接種(特にBCG?)が白血病の発症を予防する可能性が示されているようです。
■ 予防接種と白血病が自分の中では結びつかなかったので、たまたま見かけた論文を読んでみました。
■ 機序は十分わかっていないようですが、ディスカッションでは、「視床下部 - 下垂体 - 副腎仮説」が提唱されており、乳児期早期の感染がコルチゾールレベルを変化させる可能性があり、発症リスクを変えているのではないかという考え方があるそうです(Schmiegelow, K., et al. Etiology of common childhood acute lymphoblastic leukemia: the adrenal hypothesis. Leukemia 22, 2137–2141 (2008).)。
今日のまとめ!
✅乳児期の予防接種は、白血病の発症リスクを下げるというメタアナリシスがあるが、機序はまだよくわかっていないようだ。