ナッツ類のアレルギーに関し、個々のナッツのコンポーネントやリスク因子が検討されてきています。
■ 小児期の食物アレルギーは卵・乳・小麦が多いために、これまでそれら多い食物に対する検討が多く行われてきました。
■ 負荷試験が多く行われてくるにつれ、マイナーな食物に関する検討が増え、さらにコンポーネント(例えば卵でいうオボムコイドなど)の検討が増えてきました。
■ そこで今回は、カシューナッツに関する検討をご紹介いたします。
Inoue T, et al. Risk Factors and Clinical Features in Cashew Nut Oral Food Challenges. International archives of allergy and immunology 2018; 175:99-106.
カシューナッツ 3g以上に対する食物経口負荷試験を実施した66人に対し、特異的IgE抗体価と負荷試験陽性の関連を検討した。
背景
■ カシューナッツ(Cashew nuts; CN)は、重症のアレルギー反応を引き起こす可能性がある。
■ しかし、CNに対する経口食物負荷試験(oral food challenges ;OFC)の詳細についてはほとんど報告されていない。
方法
■ 2006年6月~2014年8月までに、耐性獲得の診断/確認のためにCN 3g以上に対するOFCを実施した66人において、CN特異的IgE(sIgE)抗体価を1年間測定した。
結果
■ 66人(男児48人/女児18人)の年齢中央値(IQR)は7.0歳(5.7-8.8)だった。
■ 12人(18.2%)がOFC陽性だった。
■ CNに対し即時型反応の病歴がある患者の8人中6人(75%)がOFCに陽性だった。
■ これら12人中5人(42%)にアナフィラキシーを認めた。
■ 陽性または陰性のOFC結果である患者において、CNに対する即時反応の病歴とCN sIgE抗体価は有意に異なった(p <0.01)。
■ 過去にCNに対する即時型反応歴のない患者において、OFC陽性結果のCN sIgE抗体価の95%陽性予測値(PPV)は66.1kUA / Lだった。
結論
■ CNおよびCN sIgE高値における即時型反応の病歴は、OFC陽性結果のリスク因子だった。
■ OFC陽性は比較的少なかったが、アナフィラキシーの可能性は高かった。
■ CNへの即時反応の既往がある患者についてはOFCの適応を注意深く考慮し、CN sIgE値が66.1 kUA / L以上(95%PPV)である病歴のない患者では、OFCを避けるべきである。
結局、何がわかった?
✅ 66人のカシューナッツ負荷試験の結果、12人(18.2%)が陽性であり、12人中5人がアナフィラキシーだった。
✅ 即時型反応の病歴がある患者の8人中6人(75%)が負荷試験陽性で、95%陽性予測値は66.1kUA/Lだった。
マイナーな食物に対する負荷試験の結果が報告されるようになってきています。
■ 最近、400人以上に対するそば負荷試験の結果が報告されました。
■ とくに本邦では、負荷試験が保険適応であることもあり、一部の医療機関では膨大な食物負荷試験の結果が集積され、コンポーネントやマイナーな食物に関する集積研究が報告されるようになってきています。
■ ただ、この報告は66人の負荷試験の結果ですから、値に関しては過剰な期待はむずかしいので、即時型反応歴があると注意+アナフィラキシーがある可能性が十分にあることを心にとめるのが良さそうですね。
今日のまとめ!
✅カシューナッツ3g以上を目標にした負荷試験の結果、即時型反応歴があると注意であること、陽性の場合にアナフィラキシーとなる可能性が高いことが注意点と考えられた。