小児に対するタミフルの有効性と副作用は?

タミフルの有効性と副作用のメタアナリシス。

■ 現在のインフルエンザ治療のメインは現状でもタミフルといえましょう。

■ 今後はゾフルーザも出てきそうですが、まだ信頼性が高い薬剤ではないと思っています。

■ その詳細に関しては、NS先生のツイートがとても参考になります。私もとても勉強になりました(引用に関しご許可をいただいています)。

 

Malosh RE, et al. Efficacy and safety of oseltamivir in children: systematic review and individual patient data meta-analysis of randomized controlled trials. Clinical Infectious Diseases 2017; 66(10): 1492-500.

タミフルの臨床的有効性や安全性を確認した2561人の患者を含む5試験に対してメタアナリシスを実施した。

背景

■ オセルタミビル(タミフル)は、20年にわたりインフルエンザに罹患した小児を治療するために使用されており、生後2週間以上の乳児の治療が現在承認されている。

■ しかし、有効性と安全性には依然として議論の余地がある。

■ これまでのメタアナリシスには含まれていなかった最近のランダム化プラセボ対照試験(RCT)が、エビデンスに追加することができる。

 

方法

■ 小児におけるオセルタミビルによる治療のRCTを特定するためのシステマティックレビューを行った。

■ 個々の患者データとプロトコルの定義の結果を得た。

■ 次に、治療群における、制限された平均生存期間(RMST)の差を用いて推定される、疾患の持続期間を短縮する治療の有効性を判定するために、2段階のランダム効果メタ解析を行った。

■ 合併症や安全性についても検討した。

 

結果

■ 我々は、 intention-to-treat (ITT)および intention-to-treat infected(ITTI)集団における2561人の患者を含む5試験を同定した。

■ 全体として、オセルタミビルによる治療は、ITTI集団における疾患持続期間を有意に短縮した(RMST差、-17.6時間; 95%信頼区間[CI] -34.7〜-0.62時間)

■ また、喘息のない患者を登録した試験では、差はより大きくなった(-29.9時間; 95%CI -53.9〜-5.8時間)

■ 中耳炎のリスクはITTI集団では34%低くなった。

治療群で有意に高いリスクを伴う唯一の有害事象は、嘔吐だった

 

結論

■ 小児臨床試験ではかなりの異質性があるにもかかわらず、オセルタミビルによる治療はインフルエンザの持続期間を有意に短縮し、中耳炎の発症リスクを低下させることが判明した。

■ 喘息の小児患者におけるオセルタミビルの有効性を評価するには、別のエンドポイントが必要な場合があります。

 

結局、何がわかった?

 ✅ オセルタミビル(タミフル)による治療は、インフルエンザの持続期間を有意に短縮した(RMST差、-17.6時間; 95%信頼区間[CI] -34.7〜-0.62時間)。

 ✅ 喘息のない患者に対する試験では、有効性はさらに大きくなった(-29.9時間; 95%CI -53.9〜-5.8時間)。

 ✅ 中耳炎のリスクが34%低下したものの、嘔吐の有害事象は有意に多かった。

 

タミフルは、今後もインフルエンザ診療に重要な位置を占めるでしょう。もちろん、処方するべきかどうかも含めさらに議論は要するでしょう。

■ 今シーズンは、ゾフルーザの上梓や、タミフルのジェネリックの登場、10代へのタミフルの投与の解除といった新しい話題があります。

■ しかし、今もタミフルはまだまだメインの薬剤でありつづけるでしょうし、「古い薬剤だから」ではなく「その性質はよくわかっている」というメリットにも注目するべきでしょう。もちろん、「処方を要するかどうか」もさらに議論は要するでしょう。

■ なお、インフルエンザに関する最近の情報をnoteにまとめました。ご参考になれば幸いです。

 

 

今日のまとめ! 

 ✅ タミフルによる治療は、インフルエンザの持続期間を有意に短縮する(RMST差、-17.6時間; 95%信頼区間[CI] -34.7〜-0.62時間)。

 ✅ 中耳炎のリスクが34%低下したものの、嘔吐の有害事象は有意に多くなった。

 

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