新生児期から保湿剤を塗布することは、皮膚のバリア機能を改善させアトピー性皮膚炎を予防することが報告されています。では、保湿剤代わりにオイルを塗布するとどうでしょう?
■ 新生児期からの保湿剤の定期塗布がアトピー性皮膚炎や皮膚トラブルをへらすことが報告されています。
■ しかし、「何を塗るか?」に関してはまだ明らかになっていません。
■ 例えば、オイルに関してはどうでしょうか? 新生児期に関するランダム化比較試験がありましたのでご紹介いたします。
Kanti V, et al. Influence of sunflower seed oil on the skin barrier function of preterm infants: a randomized controlled trial. Dermatology 2014; 229:230-9.
早産児22人をヒマワリオイル群、対照群にランダム化し、生後21日までの皮膚機能を確認した。
背景
■ 不十分なスキンケアは、早産児の病的状態を増加させる可能性がある。
■ 皮膚の成熟をサポートするスキンケア診療はほとんど研究されていない。
目的
■ 低出生体重早産児に対する皮膚バリアの発達に及ぼすヒマワリ種子オイル(sunflower seed oil ;SSO)の影響を調査する。
方法
■ 早産児22人(出生後48時間未満 ;1,500-2,500g)をC群(対照群)とSSO群にランダム化し、出生後10日目まで毎日SSOの塗布を受け、以降は塗布しなかった。
■ 出生後48時間以内、生後5日、11日、21日に、前額部、腹部、大腿部、臀部における経表皮水分蒸散量(Transepidermal water loss; TEWL)、角質水分量(stratum corneum hydration; SCH)、皮膚pH、皮脂を測定した。
結果
■ 皮膚pHは低下したが、皮脂は両方の群で安定したままであった。
■ 対照群(C群)では、TEWLは安定していた。
■ ヒマワリ種子オイル群(SSO群)では、TEWLは生後11日まで腹部、大腿、臀部で有意に増加し、その後SSOの使用を中止後低下した。
■ 腹部の角質水分量はC群では安定したままであったが、SSO群では21日目まで継続的に低下した。
結論
■ SSOの使用は、早産児の出生後の皮膚バリア成熟を遅らせる可能性がある。
結局、何がわかった?
✅ 早産児22人をヒマワリオイル群、対照群にランダム化し経過をみると、ヒマワリオイル群では出生後11日でTEWL(経皮水分蒸散量)が上昇、生後21日で角質水分量が低下した。
新生児に対するオイルの使用に関しては、考慮すべきかもしれません。
■ この研究結果は、そのままオイルを使っていけないという意味にはならないと思います。その点に関して、noteにまとめました(有料で申し訳ないですがmいずれ本にまとめます)。
今日のまとめ!
✅ひまわりオイルは、新生児の皮膚機能を下げるかもしれない。