ステロイド嫌い(忌避)は、患者側にとどまらず存在する。
■ 私は、ステロイド外用薬は使い方に習熟する必要があり、さらに説明も丁寧にしなければならないとても面倒な薬だと思っています。
■ もちろん、アトピー性皮膚炎の炎症が残存していると、さらに皮膚バリア機能がさがること、さらに感作が進むことから、はやめに炎症をおさえて皮膚の状態を戻していく必要があるとも考えています。
■ ステロイド嫌い(ステロイド忌避)は、アトピー性皮膚炎治療の障壁になりがちであり、その原因は医療者からの可能性もあります。
■ そして、医療者自身にもステロイド忌避がある可能性が示唆される報告がありました。
Bos B, et al. Corticosteroid phobia (corticophobia) in parents of young children with atopic dermatitis and their health care providers. Pediatric dermatology 2018.[Epub ahead of print]
背景
■ アトピー性皮膚炎患者とその保護者において、ステロイド外用薬に対するアドヒアランスは低い。
■ これは、治療の失敗と生活の質の低下につながる可能性がある。
目的
■ アトピー性皮膚炎のある児の保護者、医療従事者、様々な専門やにおけるステロイド外用薬に関する不安と信念を評価し、比較する。
■ また、専門家におけるステロイド忌避(corticophobia)に関連する因子を特定する。
方法
■ 保護者と医療従事者は、ステロイド忌避に関するアンケート(TOPICOP)を記入するように求められた。
■ 率で表したアンケートスコアが高いほど、より重度のステロイド忌避症を示す。
■ 専門家は、自分の子どもにステロイド外用薬を使用しているかという質問に答えるように求められた。
結果
■ 保護者29人と看護師31人のTOPICOPの得点は44%だった。
■ 一般開業医51人のスコアは39%だった。
■ 一般保険医33人と小児科医47人のスコアは31%だった。
■ 親とこれらの専門家の差は統計的に有意に異なっていた(P = 0.001)。
■ 職業とアトピー性皮膚炎の児がいることは、スコアに有意な関連を及ぼした。
結論
■ ステロイド忌避は、アトピー性皮膚炎児の保護者やアトピー性皮膚炎の児を治療する専門家にも存在する。
■ 看護師は、両親と同レベルのステロイド忌避を呈する。
■ 医療従事者にステロイド忌避が存在すると、保護者の視点やステロイド外用薬に対するアドヒアランスが悪影響を受ける可能性がある。
結局、何がわかった?
✅ 医師と患者のステロイド忌避率には有意差があったが、看護師と患者のステロイド忌避率には有意差がなかった。
患者さんだけでなく、医療者へのステロイド外用薬の情報提供が必要なのかもしれません。
■ ステロイド外用薬は、指導をきちんとしなければならない薬だと思っています。
■ そして、定期的に皮膚を観察し、減量を目指すことも必要です。
■ そういった意味で、使い方に習熟を要すると考えています。そして知識と経験を求められるため、「未知のものに対する敬遠」がこの忌避に結び付いているのではないでしょうか。
今日のまとめ!
✅ステロイド忌避は、患者さんだけでなく医療者にも存在する。