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負荷量に応じた食物負荷試験のプロバビリティカーブ(予測曲線)。この研究結果が、これまでのプロバビリティカーブを置き換えていくでしょう。

■ ご紹介しようと思いながら延び延びになってしまったのですが、とても重要な報告です。

■ 負荷量に応じた負荷陽性予測を示した報告であり、おそらく、これまでのプロバビリティカーブを一部置き換えることになるでしょう。

■ この報告は柳田先生が、一時仙台にいらっしゃった時にまとめられています。このバイタリティは本当にすごいなあと思います。

■ またとても素晴らしいのが、オープンアクセス化されているということです。オープンアクセス化すると、皆が無料で全文読むことが可能になります。権利を著者が買い取るという方法なので、著者には大きなコストがかかっているはず。そのお陰で、皆が容易に論文を読むことができます。

■ そこで今回は、全文を翻訳してご紹介いたします。

 

Yanagida N, et al. A three-level stepwise oral food challenge for egg, milk, and wheat allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2018; 6:658-60.e10.

卵アレルギー疑い432人、乳アレルギー疑い210人、小麦アレルギー118人(中央値4歳)に対し、3段階の負荷用量で負荷試験を順に実施した。

背景/目的

■ 食物アレルギーの管理には経口食物負荷試験(Oral food challenges;OFC)が必要である。

■ しかし、負荷閾値は患者によって異なる。

■ 低用量のOFCの後に高用量のOFCを実施することにより、完全除去を回避することができる。

■ 本研究では、段階的OFCの安全性と有効性を明らかにすることを目的とした。

 

方法

■ 仙台医療センターにおいて、食物アレルギーの診断や耐性確認のため、低用量OFCを用いた3段階のOFCを実施した。

■ 最初に卵、牛乳、小麦の低用量OFCを受けた患者(STEP 1:213mg、850mg、374mg)を研究に含めた(表E1およびE2;オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで入手可能) 。

■ 低用量のOFCを耐性を示した患者は、12ヶ月以内に卵、ミルク、小麦の中用量のOFCを受けた(STEP 2:1550mg、3400mg、2600mg)。

■ さらにSTEP 2で患者が反応を示さなかった場合、12ヶ月以内に卵、牛乳、小麦の全用量のOFCを実施した(STEP 3:6200mg、6800mg、5200mg)。

■ 症状および関連する重症度は表E3に記載しており、この記事のオンラインリポジトリ(www.jaci-inpractice.org)で入手可能である。

論文から引用。負荷試験の段階的スケジュール。

それぞれのOFCについて陰性であった場合、患者は原因食品から蛋白量から推奨される量ののタンパク質を摂取することが可能とされた

■ ハイリスク群では、STEP 1の前に、卵、ミルク、小麦に対する極めて低用量のOFCが実施された(それぞれSTEP 0:1.8 mg、99 mg、146 mg)(オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgを参照)。

 

結果

■ 909人のうち、149人が適格基準を満たしていなかった(図1)。

■ 2010年から2012年に入院した760人のうち、432人が卵アレルギー疑い、210人がミルクアレルギー疑い、118人が小麦アレルギーの疑いがあった。

■ 表E4(オンライン・リポジトリwww.jaci-inpractice.orgで入手可能)に示されるように、516人(68%)が原因食品に対する即時型反応を報告し、238人(31%)は食物関連のアナフィラキシーを経験した。

■ 登録患者の年齢の中央値は4歳だった。

■ 図1に示すように、卵アレルギーに疑いのある患者379人(88%)、ミルクアレルギーに疑いのある患者119人(57%)、小麦アレルギーに疑いのある患者71人(60%)がSTEP 1を通過した。

■ STEP2は、STEP1を完了してから約195日後に実施された。

■ このうち(STEP1が陰性だった例のうち)、卵アレルギー患者275人(64%)、牛乳アレルギー患者71人(34%)、小麦アレルギー患者43人(36%)がSTEP 2を通過した。

■ STEP 3は、STEP 2を完了して約190日後に実施された。

■ その結果(STEP1,STEP2をパスした例のうち)、卵アレルギー患者126人(29%)、牛乳アレルギー患者42人(20%)、小麦アレルギー患者36人(31%)がSTEP 3を通過した。

■ 摂取閾値量で4群にわけた患者は、原因となる食物に対する血清特異的IgE(sIgE)値が有意に異なっていた(図E1、オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで利用可能)。

■ 各STEPのOFC結果に基づくプリバビリティカーブは群間でことなった(図2)。

論文から引用。食物負荷試験を3段階にわけた陽性予測プロバビリティカーブ。

(管理人注;蛋白量だとわかりにいので参考; 鶏卵 STEP1 卵黄つなぎ[卵白微量混入]1個相当; STEP2 全卵つなぎ1/4個相当; STEP3 炒り卵1個、牛乳 STEP1 加熱牛乳25mL相当; STEP2 牛乳100mL相当; STEP3 牛乳200mL、小麦STEP1 クッキー2枚; 小麦STEP2 うどん100g; STEP3 8枚切り食パン1枚)

■ 以前報告されたように、小麦アレルギー患者では、年齢(4歳以上または4歳以上)で層別化されたプロバビリティカーブが異なっていた(図E2およびE3、オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで利用可能)。

■ 除外された患者のデータを含めた場合の最善/最悪の症例解析でも、アウトカムはほとんど変わらなかった(図E4およびE5、オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで利用可能)。

■ 最初のOFC陽性後、約182日後の再負荷試験時の陽性率は44%だった(222人中97人)(表E5、オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで利用可能)。

過去陽性反応の病歴を有するハイリスク患者のうち、159例([卵 60例、乳 71例、小麦 28例)は、STEP1の前にSTEP0のOFCを受けた

■ これらの患者のうち16例(卵 5例、乳 6例、小麦 5例)が陽性であり、STEP 1を通過するための負荷総量を摂取できなかった

■ それぞれの食品の負荷試験におけるSTEP 1の90%陽性予測値(PPV)は> 100kUA / Lであった(表E6、オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで利用可能)。

陽性反応を示した556例のうち、14例が重症の反応を示した(3%)

■ アドレナリン筋注が1人(0.2%)で必要とされ、最も重篤な陽性反応は、乳のSTEP 1で生じた(表E7およびE8、オンラインリポジトリwww.jaci-inpractice.orgで利用可能)。

 

■ 本研究では、3段階のOFCの有効性と安全性を検討した。

■ 多くの患者はアレルゲンの全量摂取は寛容を示さなかったが、ほとんどの場合には低用量または中用量を摂取することが可能であり、それにより原因となる食物の完全除去を安全に回避した。

■ 低用量を摂取することにより、患者は高用量の食品をより早くに耐性を誘導する可能性がある。

■ 重篤な症状はまれであり、アドレナリンを必要とするアナフィラキシーの症例は1例のみであり、この段階的プロトコールの安全なアプローチを支持している。

■ いずれの食品についてもステップ1の90%PPVは> 100kUA / Lだった。

■ したがって、原因食品に対するsIgEレベルが高値であるからといって、STEP 1のOFCを避ける必要はない

■ そして、患者の半数以上が約6ヵ月後の再度のOFCにパスした。

■ これは、ほとんどの参加者が若年者であり、ほとんどの参加者が卵OFCを実施されたことが原因である可能性がある。

■ 卵OFCの再負荷試験の陽性率は、低いと報告されている。

■ PRACTALLガイドライン(3)は、少なくとも20分間の間隔で、3、10、30、100、300、1000、3000mgの食品タンパク質を負荷する一般的な負荷試験スケジュールを推奨している。

■ この方法は、食品タンパク質の累積投与量への反応に関する情報を提供するものの、ほとんどの症状が20分以降に発現するので、最も安全な投与量は調査できない。

■ 3段階の段階的OFCは、卵、牛乳、小麦に対してアレルギーのある患者が低または中用量でこれらの食品を安全に摂取できるかどうかを決定することができる。

 

研究の限界

■ 我々の研究にはいくつかの限界があった。

■ 第1に、OFCは二重盲検化試験もしくはプラセボ対照試験ではなかった。

■ しかし、誘発されたほとんどの症状は客観的であり、評価バイアスを限定的だった。

■ 第2に、患者の約25%がSTEP1に陽性であり、10%がSTEP0に陽性だった。

■ 安全上の理由から、すべての患者に対しSTEP 0から開始し、4段階のOFCを推奨する可能性がある。

■ 第3に、加熱食品の抗原性において固有の違いを考慮する必要がある。

■ 最後に、多くの患者は、これらの食物アレルギーをアウトグローする可能性のある乳幼児だった。

■ さらに高年齢の患者、または、ピーナッツ、ナッツ、ゴマ、魚、甲殻類のアレルギーを持つ小児では、結果が異なる可能性がある。

■ したがって、将来的には、他施設のプロスペクティブな研究が実施され、様々な食物アレルゲンや高い年齢の小児に対してこのアプローチが安全で有効かを確認されるべきである。

 

結論

■ 結論として、ここに提案した3段階の段階的OFCは、疑わしい食物アレルゲンの完全除去をさけ、食物アレルギー管理の改善に寄与する。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅卵・乳・小麦に関し、3段階の食物経口負荷試験を実施し、3段階の負荷試験陽性予測プロバビリティカーブを作成した。

 

 

負荷試験の負荷量ごとの陽性予測を検討した報告として、現実に即した素晴らしい報告と思います。

■ 負荷試験陽性予測に関するプロバビリティカーブは、多くの報告がなされるようになりました。

■ 実際には、負荷試験を行う施設により大きく患者さんの重症度が異なるため、プロバビリティカーブの陽性率が異なってくる可能性も指摘されていますが、とても有用です。

■ 論文は蛋白量で記載されているため、それぞれの負荷食品量がわかりにくいと思われるため、プロバビリティカーブの図に、参考までに、実際の負荷食品を記載しました。

■ 牛乳と小麦のSTEP1の負荷量がやや多い印象ではありますが、STEP0が設定されていますので、より現実的な負荷試験の陽性予測として使えそうですね。

 

今日のまとめ!

 ✅ 卵・乳。小麦に対する食物負荷試験を3段階の負荷量で実施した陽性予測プロバビリティカーブが発表され、今後参考にされるであろうことが予想される。

 

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