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MMR(麻疹/ムンプス/風疹)ワクチンと自閉症の関連は否定されています。そのテーマでの大規模な検討。

■ ある映画が中止になったことが、最近Twitterで話題になりました。MMRワクチンと自閉症スペクトラム障害の関連を扱ったテーマだったようです。いまだにその論説は根強く残っているのかと思わせます。

■ MMRワクチンが自閉症スペクトラム障害に関連するという論文は捏造であることがわかっており、その論文の著者である医師は医師免許が剥奪となっています。MMRワクチンと自閉症の関連を否定する報告はいくつかありますが、最近発表されているJAMAの報告をご紹介します。

 

Jain A, et al. Autism occurrence by MMR vaccine status among US children with older siblings with and without autism. Jama 2015; 313(15): 1534-40.

保健データベースに登録された 年上のきょうだいを持つ児 95,727人に関し、年上に自閉症スペクトラム障害のきょうだいがいるかどうかとMMRワクチンの接種で、自閉症スペクトラム障害の発症リスクに差があるかを検討した。

重要性

麻疹/ムンプス/風疹(measles-mumps-rubella ;MMR)ワクチン自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorders; ASD)に関連性がないことを示す研究があるにもかかわらず、ワクチンが自閉症を持続させるとの信念は、ワクチン接種率を低下させる。

■ すでにASDの児を持つ保護者は、予防接種に特に注意するかもしれない。

 

目的

■ ASDの有無にかかわらず、年上のきょうだいを持つ米国の児における多数例で、MMRワクチン接種状況によるASD発症をレポートする。

 

研究デザイン、セッティング、参加者

■ 大規模な商業的な保健計画に関連した行政上の請求データベースを用いる後ろ向きコホート研究だった。

■ 参加者は、1997年から2012年にかけて少なくとも6ヶ月以上継続してきょうだいと、出生から2001年-2012年にかけて少なくとも5歳まで継続して試験に参加していた児だった。

 

曝露

■ 出生から5歳までのMMRワクチン接種(0、1、2回接種)。

 

主なアウトカムと測定結果

■ ASD状態は、自閉症、アスペルガー症候群を含む他の特定の広汎性発達障害(pervasive developmental disorder; PDD)、不特定のPDD(国際疾病分類;第9改訂版; 臨床的改訂 299.0x、299.8x、299.9x)のいずれかの診断コードの2回の請求と定義された。

 

結果

■ 年上のきょうだいを持つ児 95,727人のうち、994人(1.04%)がASDと診断され、1929人(2.01%)はASDのきょうだいを持っていた。

■ ASDのある年上のきょうだいをもつ児のうちASDが134人(6.9%)である一方、ASDのある年上のきょうだいがいない児のうち、ASDは860人(0.9%)だった(P <.001)。

■ MMRワクチン接種率(≧1回)は、年上のきょうだいにASDがない児においては2歳で84%(78,564)、5歳で92%(n = 86,063)である一方、年上のきょうだいにASDがある児は、2歳で73%(n = 1409)、5歳で86%(n = 1660)だった。

MMRワクチン接種は、どの年齢でもASDのリスク増加と関連していなかった

MMRワクチン1回接種群 vs MMRワクチン接種なし群におけるASDの調整相対危険度(relative risk; RR)は0.76(95%CI 0.49~1.18; P = .22)であり、5歳時のMMRワクチン2回接種におけるASDの相対危険度はワクチン接種なし群と比較して0.56(95%CI 0.31-1.01; P = 0.052)だった。

■ 年上のきょうだいがASDでない児の場合、2歳時点でのMMRワクチン1回接種群のASDの調整RRは0.91(95%CI 0.67~1.20; P = .50)であり、5歳時点でのMMRワクチン2回接種におけるASDの相対危険度は1.12(95%CI 0.78-1.59; P = .55)だった。

 

結論と関連

年上のきょうだいがASDであるかどうかに関わらず、MMRワクチン接種はASDの発症リスクの増加と関連していなかった

■ これらの知見は、ASDのリスクが高い児でさえ、MMRワクチン接種とASDに有害な関連がないことを示している。

 

結局、何がわかった?

 ✅  MMRワクチン1回接種群 vs MMRワクチン接種なし群を比較して、ASDの調整相対危険度(relative risk; RR)は0.76(95%CI 0.49~1.18; P = .22)だった。

 ✅ さらに、5歳時のMMRワクチン2回接種におけるASDの相対危険度はワクチン接種なし群と比較して0.56(95%CI 0.31-1.01; P = 0.052)だった。

 

 

MMRワクチンは、自閉症スペクトラム障害の発症に関連しない。

■ このような、「ワクチンと自閉症の関連はない」という報告は繰り返し発表されています。しかし、いまだに捏造論文の論説が残っているのは、悲しむべきことです。

■ そして、結果として罹らなくて良い疾患に罹患することは、さらに悲しむべきことと思います。

■ むしろ、私をふくめ前線で仕事をしている小児科医は、ワクチン未接種のために罹らなくて良い感染症により、合併症に苦しむお子さんをまま経験します。また、予防接種率が不十分であった時代、合併症に苦しむお子さんを多く経験しました。

■ いまだに、ムンプス(おたふくかぜ)で難聴を発症したお子さんを経験します。「治りません」とお話しなければなりません。

■ 細菌性髄膜炎により、髄液穿刺としたとき白濁した髄液が採取されたときに内心真っ青になったことも何度あったことでしょう。この頻度は、ヒブや肺炎球菌ワクチンが普及して大きく減りました。若い先生は経験していない方も多くなってきていることでしょう。ただ、当時より抗生剤の耐性化がすすんできており、治療はさらに難しくなっていることも考慮しなければなりません。

■ 科学的にワクチンと自閉症の関連が否定されていることは、さらに広めていくべきだと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅ 年上のきょうだいが自閉症スペクトラム障害であるかどうかに関わらず、MMRワクチン接種は自閉症スペクトラム障害の発症リスクの増加と関連していなかった。

 

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