除去食は、かえってその食品を摂取出来なくする可能性がある。
■ 除去食により、その食品の寛容を崩し、たべられなくなるかもしれないという報告があります。
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Eapen AA, et al. Oral food challenge failures among foods restricted because of atopic dermatitis. Ann Allergy Asthma Immunol 2019; 122:193-7.
食物経口負荷試験442回を、その除去理由と負荷試験の結果に関する比較を行い、アトピー性皮膚炎を理由に除去した場合の負荷試験結果を検討した。
背景
■ 最近の研究では、アレルギー検査陽性を元にアトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)を管理するために食事から食物を除去すると、その食物の再導入時に即時型アレルギー反応を引き起こす可能性が示唆されている。
目的
■ この研究の目的は、米国における5種類の主な食物アレルゲンに焦点を当て、ADの原因となる疑いがあるとし食事から除去され食物経口食物負荷試験(oral food challenge; OFC)が陽性となった頻度を調べることだった。
方法
■ 小児病院のアレルギークリニックにおいて2008〜2014年に実施された卵、牛乳、ピーナッツ、大豆、小麦に対するOFCをレビューした。
■ OFCは、病歴と検査値に基づいて実施された。
■ 食物除去の理由は、食物アレルギー(2時間以内に起こるIgEによる反応)、感作のみ(検査結果陽性による未摂取)、ADの評価中の検査結果による除去に分類された。
結果
■ 442回のOFCが実施され、89回(20.1%)が陽性だった。
■ OFCが実施された理由は、食物アレルギーの病歴(442人中320人; 72.4%); 感作があるため未摂取(422人中77人; 17.4%); アトピー性皮膚炎がある(442人中45人; 10.2%)だった。
■ 食物アレルギー(320人中70人; 21.9%)、感作のみで未摂取(77人中13人; 16.9%)、アトピー性皮膚炎の原因疑い(45人中6人; 13.3%)におけるOFC陽性には有意差がなかった(p = 0.63)。
■ 小麦は、他の4種類の食物よりもADの懸念のために除去されていた(p <0.0001)。
結論
■ ADの原因となっていると思われる食物を除去した患児のうち、OFCの陽性頻度は13.3%であり、耐性を失ったことを示している。
■ ADを管理するための食物除去は、慎重かつ注意深く監視する必要がある。
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結局、何がわかった?
✅ 食物アレルギー(320人中70人; 21.9%)、感作のみで未摂取(77人中13人; 16.9%)、アトピー性皮膚炎の原因疑い(45人中6人; 13.3%)が、食物経口負荷試験で陽性となり、有意差がなかった(p = 0.63)。
✅ アトピー性皮膚炎の疑いで除去となった13.3%は、除去により食物負荷試験陽性となったのではないかと推測された。
食物除去によりむしろ食べられなくなる?
■ 除去によってむしろ食べられなくなるかもしれないというテーマに関しては、後ろ向きの研究ですがやはり報告があります。
■ これらは後ろ向きの研究であり、エビデンスレベルは高くありません。
■ しかし、アトピー性皮膚炎の治療の際の除去食はひとつの方法かもしれませんが、十分に検討した上での除去に努めるべきだろうと思います。
■ 個人的には、十分な皮膚のケアで多くはそのまま摂取できているという経験ですが、除去で改善するとする医師も少なからずいらっしゃいます。その乖離がどこにあるのかは私にもまだはっきりわかりません。もちろん、そういう意味で、除去を否定するつもりもありません。
■ ただ、食物アレルギーガイドラインではスキンケアを優先して行うように提案しており、除去は最終手段だと思っています。
今日のまとめ!
✅ 食物除去により、一部はその食物が摂取できなくなっているかもしれない。