小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの負荷試験において、反応を増強する因子は?

小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの誘発因子のうち、どの誘発因子が症状を起こしやすいか?

■ 食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、運動だけでも、原因食物を食べただけでも症状がないものの、原因食物を摂取してから運動すると症状が誘発されるというものです。

■ 頻度はけっして高くはありませんが、その原因食物としては小麦が最も多いです。

■ そして、運動以外の誘発因子があることがわかっています。

 

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Christensen MJ, et al. Wheat-Dependent Cofactor-Augmented Anaphylaxis: A Prospective Study of Exercise, Aspirin, and Alcohol Efficacy as Cofactors. J Allergy Clin Immunol Pract 2019; 7:114-21.

成人の小麦依存性運動誘発性アナフィラキシー25人に対し、安静時、トレッドミルによる運動、アスピリン、アルコール、運動+アスピリンの組み合わせで負荷を行った。

背景

小麦依存性運動誘発性アナフィラキシー(Wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis ; WDEIA)は、小麦の摂取によって、そして最も多くの場合、運動との組み合わせで引き起こされる重症かつ潜在的に生命を脅かすアレルギーである。

 

目的

■ WDEIA患者におけるさまざまな補助因子(運動、アスピリン、アルコール)の役割と影響を調査する。

 

方法

成人WDEIA患者25人を検討した。

■ 横断検査には、ω-5グリアジン特異的IgE抗体価、小麦粉とグルテンを用いた皮膚プリックテストが含まれていた。

■ グルテンを用いた経口負荷試験が、安静時、トレッドミルによる運動、アスピリン、アルコール、運動+アスピリンの組み合わせで行われた。

 

結果

■ グルテンに対する負荷試験陽性は、補助因子なしの安静で48%(25人中12人)、補助因子としての運動があると92%(25人中23人)、アスピリンで84%(25人中21人)、アルコールで56%(19人中9人)、運動とアスピリンの組み合わせで82%(22人中18人)だった。

■ 補助因子としての運動は、閾値の中央値は24 g(範囲 4.8〜80 g)であり、アスピリンは8 g(範囲 2.4〜80 g)、アルコールで28 g(範囲、0〜45 g)だった。

■ 2種類の補助因子(運動+アスピリン)の組み合わせは、閾値中央値4.3g(範囲1.1〜48g)だった。

■ 臨床反応の閾値は、安静時と比較して、それぞれ63%、83%、36%、87%低下した。

■ 安静時のSampson重症度スコアによる重症度グレード(スケール0〜5)の平均は0.8(範囲 0〜2)であり、運動と組み合わせると 2.1(範囲 0〜5)、アスピリンでは1.9(範囲 0〜5)、アルコールでは0.8(範囲0〜2)、運動+アスピリンでは1.5(範囲0〜2)だった。

 

結論

■ この結果は、運動+アスピリンが閾値を下げ、アレルギー反応の重症度を高めることによりWDEIAの臨床反応を増強するのに対し、アルコールはあいまいな結果をもたらすことを示している。

■ さらに、2種類の補助因子(運動+アスピリン)の併用は反応の危険性を高める

 

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結局、何がわかった?

 ✅ 成人の小麦依存性運動誘発性アナフィラキシー25人に対し、安静時と比較して、トレッドミルによる運動で63%、アスピリンで83%、アルコールで36%、運動+アスピリンの組み合わせで87%閾値が低下した。

 

 

小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの負荷試験は段階を追って行う必要がある。

■ 小麦依存性運動誘発アナフィラキシーは、運動だけでは症状が誘発できないことも多く、一般にはアスピリンをさらに負荷することが多いです。

■ しかし、何度も負荷試験をせざるを得ないため、最初からアスピリン+食物負荷を希望されるかたが出てきますが、やはり段階的に負荷を行うべきでしょう。

■ 一方で、運動をしなくてもアスピリンの前負荷のみでも症状が誘発されることにも注意を要します。

■ また、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーは、他にも季節性に起こりやすくなったり負荷量でも変わったりする可能性が指摘されています。

 

 

今日のまとめ!

 ✅ 小麦依存性運動誘発アナフィラキシーに関し、運動のみで誘発されない場合もありアスピリン+運動負荷で行うことになるが、リスクがあるのは確かである。アスピリンの前負荷のみでも症状が誘発されやすい。

 

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