以下、論文紹介と解説です。

Gu X, et al. In vitro evaluation of concurrent use of commercially available insect repellent and sunscreen preparations. Br J Dermatol 2005; 152:1263-7.

豚の皮膚モデルに対し、A: 昆虫忌避スプレー; B: 昆虫忌避ローション; C: 日焼け止めローション; DとE: 昆虫忌避剤/日焼け止めローションの混合剤を塗布し、経皮吸収率の変化を検討した。

背景

■ 昆虫忌避剤や日焼け止めは、広く一般にOTC(over-the-counter)で使用されている市販薬である。

■ ウエストナイルウイルスや皮膚癌に対する懸念から、これらの製品を同時に使用することが北米の多くの地域で普及している。

 

目的

■ 製剤のタイプ・使用量・順序が、昆虫忌避剤や日焼け止め成分の経皮吸収に影響するかどうかを検討した。

 

方法

■ 昆虫忌避剤であるN,N-diethyl-m-toluamide (DEET) と日焼け止めであるオキシベンゾンを含有する5種類の市販製品(A: 昆虫忌避スプレー; B: 昆虫忌避ローション; C: 日焼け止めローション; DとE: 昆虫忌避剤/日焼け止めローションの混合)の同時使用からのin vitroの経皮透過性を37°Cで仔豚皮膚のFranz型拡散セルを用いて測定、比較した。

 

結果

Cを同時に適用した場合、AとBによるDEETの透過性はそれぞれ1640%/282%増加した。

■ DとEにおけるDEETの透過性はBよりも53%/79%高かった。

■ A+C(2:1)もしくはA+C(1:2)によるDEETの透過性は、それぞれ530%/278%増加した。

オキシベンゾンの透過性はCのみよりも、A+CもしくはB+Cで189%/280%増加した。

■ また、DとEによるオキシベンゾンの透過性は、Cよりも221%/296%増加した。

■ オキシベンゾンの透過性は、Aの上にCを塗布した場合よりもCの上にAを塗布した場合の方が196%増加した。

■ さらに、A+C(1:2)のオキシベンゾンは、A+C(2:1)よりも171%透過性が高かった。

 

結論

■ 市販の昆虫忌避剤と日焼け止め製品の同時の使用は、in vitroにおける昆虫忌避剤DEETや日焼け止めオキシベンゾンの有意な相乗的経皮的透過性の増加をもたらした。

■ 経皮透過性は、製剤のタイプ、使用順序、使用割合に依存した。

 

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虫除けと日焼け止めを同時に塗ると、それぞれの吸収率があがるかもしれない(だからリスクがという意味でもありません)。

■ あくまで豚の皮膚モデルにおける実験による結果ですので、この数値を人間でそのまま使用できる結果とはいえません

■ 同グループはその後、ディートとオキシベンゾンの併用で経皮吸収率の増加は36~108%と報告しています。

■ 最近、イカリジンが小児に使用できるようになり、小児にとっては安全性が高いと考えられています。

■ さらに、別の報告で日焼け止めとの併用による吸収率の変化もディートほどではないという結果もありますので、私はイカリジンをおすすめしています。

■ これらはいずれnoteなどでまとめてみたいと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅ 虫除けであるディートや日焼け止めであるオキシベンゾンは、同時に使用すると吸収率が変わるかもしれない。

 

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