以下、論文紹介と解説です。
Kalic T, et al. Patients Allergic to Fish Tolerate Ray Based on the Low Allergenicity of Its Parvalbumin. J Allergy Clin Immunol Pract 2019; 7:500-8.e11.
タラ、サケ、その両方にアレルギーのある患者18人のうち、エイにもアレルギーがあるかどうか11人で評価した。
背景
■ 硬骨魚綱に対する臨床的な反応は、魚アレルギーの患者によくみられβ-パルバルブミンによって引き起こされる。
■ エイやサメなどの軟骨魚は主にα‐パルブアルブミンを含有しており、それらのアレルゲン性は十分に理解されていない。
目的
■ 硬骨魚綱に対するアレルギー患者における軟骨魚綱のα‐パルバルブミンのアレルゲン性を検討した。
方法
■ タラ、サケ、その両方にアレルギーのある患者18人におけるタラ、サケ、エイへの感作について、プリック試験によって調査した。
■ エイに対する臨床的反応性は、食物負荷試験や臨床的検査により11例で評価された。
■ β-パルブアルブミン(タラ、コイ、サケ、肺魚、ティラピア)およびα-パルブアルブミン(エイ、サメ)に対するIgE結合性をIgE-ELISAにより測定し、タラ・コイ・サケのβ-パルバルブミンもしくはエイ・サメのα-パルバルブミンを用いて好塩基球活性化試験や皮膚プリックテストを行った。
結果
■ 11名中10名が、エイに対する耐性を示した。
■ エイに対するPrick to Prickテストの反応は、硬骨魚綱より有意に小さかった(膨疹径の中央値; エイ2mm vsタラ・サケで11mm)。
■ α‐パルブアブミンに対するIgE(エイ、サメの中央値0.1 kU/L)は、β‐パルブアルブミン(中央値≧1.65 kU/L)よりも低かった。
■ さらに、α-パルブアルブミンはβ-パルブアルブミンと比較し、好塩基球活性化能が有意に低かった (例、エイvsタラ、P<。001;n=18)。
■ さらに、皮膚プリックテストは、α-パルバルブミンに対する反応性はβ-パルブアルブミンよりも低いことが示された。
結論
■ 軟骨魚綱であるエイは、α‐パルブアルブミンの低アレルゲン性のため、多くの硬骨魚綱アレルギー患者では耐性を示した。
■ 軟骨魚綱に対する慎重な臨床的精密検査とin vitro IgE試験は患者の管理を改善し、患者の食事に硬骨魚綱の代替物を導入できるかもしれない。
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魚アレルギーへの対応は難しいが、軟骨魚綱が摂取できたとして生活の質はあがるだろうか、、
■ われわれが普段食べる魚は、ほとんどが硬骨魚綱にあたります。
■ 軟骨魚綱はエイやサメにあたりますが、日常的に摂取する魚とは言えません。
■ 生活の質にどこまで寄与できるかは、なかなか判断が難しいところです。
■ とはいえ、魚を完全除去せずにすむなら、一つの選択肢ではあるでしょう。
今日のまとめ!
✅ 魚アレルギーがあっても軟骨魚綱(エイやサメ)は摂取できるかもしれない。