日本で2番目に多い牛乳アレルギー、低アレルゲンミルクの適用は?
■ 牛乳アレルギーは、日本でも多い食物アレルギーで、全体に2位に位置づけられています。
■ とくに、初発する時期が1歳未満で発症することがおおく、栄養面での問題も起こします。
■ 牛乳アレルギーは大きく分けると、IgE抗体が関係するものと、そうでない非依存性の2種類があります。
■ 治療は、アレルギーの原因となる牛乳製品を避けることが基本です。しかし、低アレルゲン化した粉ミルクを使用することもあります。
■ これには、アミノ酸ベースのものや、高度加水分解乳などがあります。これらの多くは、牛乳アレルギーのある子どもにとって、症状を起こしにくくし、長期的にはアレルギーに対する耐性をつけるのに役立つとされています。
■ とはいえ、低アレルゲンミルクでも症状がおこる可能性もあります。
■ 最近、南フロリダ大学モルサニ医科大学において、生後6か月未満のCMPAの赤ちゃんを対象にした短期間の症状の変化を調べた研究が公開されています。
Wilsey MJ, Florio J, Beacker J, Lamos L, Baran JV, Oliveros L, et al. Extensively Hydrolyzed Formula Improves Allergic Symptoms in the Short Term in Infants with Suspected Cow's Milk Protein Allergy. Nutrients 2023; 15.
牛乳アレルギー(CMPA)が疑われるか診断された生後6か月未満の乳児202人に対し、Lactobacillus rhamnosusを添加した高度加水分解ミルク(eHF LGG)を摂取させ、症状の改善度を確認した。
背景
■ 牛乳タンパク質アレルギー(CMPA)の長期管理に高度加水分解ミルクが広く受け入れられている。
■ しかし、短期的な有効性に関するエビデンスは不足している。
目的
■ CMPAと診断され、Lactobacillus rhamnosusを含む高濃度加水分解粉ミルクで管理された乳児の、その後の受診時における短期的な症状の変化(3~6週間以内)を調査することである。
結果
■ 生後6か月未満のCMPAと診断された202人を対象にしたこの前向き研究では、医療従事者が非識別化されたアンケートに回答した。
■ 初診後、患者は高度加水分解ミルクの摂取を開始し、ベースラインの症状を0~3の重症度スケールでスコア化した。
■ その後、次の追跡調査時に症状の重症度の変化を再評価した。
■ 胃腸症状(93%)、皮膚症状(83%)、呼吸器症状(73%)、未分類症状(90%)において統計学的に有意な改善が認められ、これらの改善は異なる追跡調査期間にわたって一貫していた。
結論
■ この研究は、高度加水分解ミルクを使用した生後6か月未満の乳児におけるCMPA症状の重症度の短期的変化を評価した米国で実施された最大の前向き解析である。
■ これらの知見は、高度加水分解ミルクが臨床的な症状の緩和と関連しており、それはしばしば次の追跡調査時まで有意であることを示唆している。
■ しかしながら、これらの結果を検証するためにはさらなるランダム化比較試験が必要である。
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