以下、論文紹介と解説です。

Simonsen AB, et al. Children with atopic dermatitis may have unacknowledged contact allergies contributing to their skin symptoms. J Eur Acad Dermatol Venereol 2018; 32:428-36.

5~17歳のAD児100人に関し、31種類のアレルゲンのうち、どれに感作されているかを確認した。

 
背景

■ アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis ;AD)の小児が、アトピー性皮膚炎のない小児よりも接触アレルギーのリスクが変化するかどうかはしばしば議論されており、報告は矛盾している。

■ 理論的に、ADの皮膚バリア障害は、潜在的にアレルゲンの浸透を促進し、AD児における接触アレルギーを過小評価して見落としているリスクを強調している報告者もいる。

 

目的

■ デンマークのAD児における接触アレルギーの有病率を確認し、皮膚症状を維持または悪化させる未確認のアレルギー反応の問題を調査する。

 

方法

■ この横断研究は、ADと診断された5~17歳の小児と青年100人を、31種類のアレルゲンシリーズによりパッチテストを実施した。

 

結果

■ 30%の小児が、パッチテストの少なくとも一種類に対し陽性反応を示した。

■ そして17%の小児が現在の皮膚症状に関連した少なくとも一種類に対する接触アレルギーを示した。

接触アレルギーのリスクはADの重症度と有意に相関した。

SCORAD<25のリスクを1とすると、
SCORAD 25–50でオッズ比2.79 (1.01–7.66)、
SCORAD ≥50でオッズ比6.31 (1.42–28.07)
だった。

■ 金属およびスキンケア製品の成分が最も感作成分として高頻度だった。

金属は、硫酸ニッケル、塩化コバルトおよび/または二クロム酸カリウムに感作されているケースが多く、最も多く陽性反応を示したのは塩化コバルトだった。陽性であった例の1/3は現在の皮膚症状に関連していると考えられた。

スキンケア製品は、ホルムアルデヒド、フレグランスミックスI、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、メチルクロロイソチアゾリノン/メチルイソチアゾリノン(MCI/MI)、メチルイソチアゾリノン(ミ)、クォータニウム15の感作が多く、54.5%が現在の皮膚炎と関連があると考えられた。

 

結論

■ パッチテストは、AD児の管理におけるスクリーニングツールとして重要である。

■ なぜなら、AD児は、皮膚症状に関係した、もしくはその症状を維持する未確認の接触アレルギーがある能性があるからである。\

■ AD児は、金属およびスキンケア製品の成分といった、特定のアレルゲンに対する感作のリスクがより高いようである。

 

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この検討は5歳以降の検討です。

■ 乳幼児期のアトピー性皮膚炎が、その後の接触皮膚炎のリスクになることはすでに報告されています。

■ そして、そのアトピー性皮膚炎の重症度は、接触皮膚炎のリスクをあげ、一部の金属やスキンケア成分への感作を増やすようです。

■ しかし、この検討はあくまで5歳以降です。5歳未満では接触皮膚炎の可能性は低くなるのではと思っています。

 

今日のまとめ!

 ✅ アトピー性皮膚炎は接触皮膚炎のリスクを上げ、金属やスキンケア製品にかぶれやすいようだ。

 

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