以下、論文紹介と解説です。

Boyle J, et al. Allergy medication in Japanese volunteers: treatment effect of single doses on nocturnal sleep architecture and next day residual effects. Current medical research and opinion 2006; 22:1343-51.

20歳~55歳の健康な日本人ボランティア18人に対し、クロルフェニラミン(6mg)、フェキソフェナジン(120mg)、プラセボの単回投与の効果を比較した。

目的

■ 2種類のヒスタミンH1受容体アンタゴニストの夜間睡眠様式、そして翌日の認知機能と精神運動能力に対する短時間の効果を評価する。

 

方法

■ 20歳~55歳の健康な(男女)日本人ボランティア18人におけるクロルフェニラミン(6mg)、フェキソフェナジン(120mg)、プラセボの単回投与の効果を比較する、単一施設ランダム化二重盲検の、3種類クロスオーバー試験であった。

■ ボランティアは、最低5日間のウォッシュアウト期間を設け、3日間滞在した。

■ 3種類の処方は23時に投与された。

■ 睡眠は、ポリソムノグラフィーを用いて23時~翌7.00時まで終夜測定した。

■ 残存作用は翌朝AM7時~PM9時に測定し、睡眠潜時(睡眠潜時試験)は9:30に測定した。

 

結果

■ プラセボと比較し、クロルフェニラミンは睡眠開始とレム(rapid eye movement ; REM)睡眠までの時間を長くし(両方ともp≦0.05)、REM睡眠時間を短縮させた(p≦0.01)が、これはフェキソフェナジンでは観察されなかった

翌朝の残存作用は、クロルフェニラミンではパフォーマンスの低下がみられたが、フェキソフェナジンではみられなかった

クロルフェニラミン6mgは、分割的注意(p<0.001)、覚醒(p<0.05)、作業記憶(p<0.0001)、感覚運動能力(p<0.01)を障害し、日中の睡眠までの潜時が短縮された(p<0.0001)

■ 試験期間中、試験薬に関連している可能性のある有害事象は6件報告された。

■ そのうち3件はプラセボに、2件はフェキソフェナジンに、1件はクロルフェニラミンに関連していた。

 

結論

■ これらの知見は、フェキソフェナジンの単回夜間使用は、第一世代抗ヒスタミン薬クロルフェニラミンより利点があり、夜間睡眠の中断や翌日の認知能力に有害な影響がないことを示している。

■ この利点は長期内服でも残る可能性が高いが、確認する必要がある。

 

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脳内ヒスタミン受容体占拠率の高い第1世代抗ヒスタミン薬を、睡眠改善薬として使用すると、日中のパフォーマンスも低下させるかもしれない。

■ 海外ではとくに、薬局に行くと第1世代の抗ヒスタミン薬が『睡眠改善薬』として販売されており、最近日本でもみかけるようになりました。

■ 『使っていはいけない』わけではありませんが、パフォーマンスの低下に関しては意識しておいたほうがよさそうです。

 

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今日のまとめ!

 ✅ 第1世代の抗ヒスタミン薬は、寝る前の内服としても、翌日のパフォーマンスの低下や、眠気を引き起こす可能性が高くなる。

 

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