以下、論文紹介と解説です。

Kim S, et al. A consistent skin care regimen leads to objective and subjective improvements in dry human skin: investigator-blinded randomized clinical trial. J Dermatolog Treat 2020:1-22.

中等症から重症の乾燥した皮膚のある52人に対し、洗浄+保湿剤(モイスチャライザー)1日2回群、洗浄のみ群にランダム化し、2週間後の症状スコアとQoLを比較した。

背景

■ 乾燥し、掻痒のある皮膚は、生活の質(QoL)を低下させ、皮膚疾患を悪化させる。

■ 保湿スキンケア製品は、乾燥肌にも効果がある。

■ しかし、毎日のスキンケアの役割は十分に研究されていない。

 

目的

■ マイルドな洗浄剤と保湿剤による毎日のスキンケアが乾燥した皮膚のある集団において、皮膚の健康と患者のQoLにどのように影響するかを理解する。

 

方法

■ 中等症から重症の乾燥した皮膚のある52人のランダム化研究者盲検試験。

■ 治療群 39人は、2週間毎日2回のマイルドな洗浄剤と保湿剤(モイスチャライザー)を使用し、対照群39人は保湿剤を使用せずマイルドな洗浄剤のみ使用した。

総臨床スコア(Total Clinical Score;TCS; 紅斑、鱗屑、亀裂)、視覚乾燥スコア(Visual Dryness Score ; VDS)、主観的掻痒関連QoLスコア(subjective itch-related quality of life; ItchyQoL)を収集した。

 

結果

2週間後、治療群は対照群と比較し、TCSとVDSにおいてより有意な改善を示した。

■ ItchyQoLの3つの構成要素(症状、機能、感情)の中で、対照群と比較して治療群では、症状が有意に大きな改善した。

■ 治療群の80%以上が、このレジメンが乾燥/そう痒を改善させ、皮膚の質感を改善することに同意した。

結論

■ 一貫したスキンケア方法は、乾燥した皮膚の管理に不可欠である。

 

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毎日1日2回の保湿剤は、中等症以上の乾燥肌に有効である。

■ スキンケアの有効性は理解していても、だんだん治療行動がよわくなってくるものです。

■ 安定することでステロイド外用薬を使用する量も減りますし、さらなる安定が目指せるということですね。

 

 

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今日のまとめ!

 ✅ 1日2回の保湿剤は、2週間で症状も生活の質も有意に改善させる。

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