以下、論文紹介と解説です。
Serrano L, Patel KR, Silverberg JI. Association between atopic dermatitis and extracutaneous bacterial and mycobacterial infections: A systematic review and meta-analysis. Journal of the American Academy of Dermatology 2019; 80:904-12.
アトピー性皮膚炎のある成人・小児が、皮膚感染症以外の細菌・マイコバクテリア感染が増加するかどうかを検討した7研究のメタアナリシスを実施した。
背景
■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis;AD)は、皮膚の細菌コロニー形成や感染の増加、皮膚以外の感染の複数の危険因子と関係する。
■ しかし、先行研究は、ADが皮膚以外の感染増加と関係するかについて矛盾した結果を示している。
目的
■ ADにおいて、皮膚以外の細菌やマイコバクテリア感染が増加するかどうかを決定する。
方法
■ MEDLINE、EMBASE、Global Resource of EczemA Trials、Cochrane、Web of Scienceで発表されたADの皮膚以外の感染を評価したすべての観察研究のシステマティックレビューが実施し、メタ分析をランダム効果重み付けを用い行った。
結果
■ 概して、7件の研究が包含基準を満たした。
■ 7研究はすべて、AD患者において、心内膜炎、髄膜炎、脳炎、骨・関節感染症、敗血症を含む少なくとも1種類に皮膚以外の感染症に対するオッズの増加を見出した。
■ メタ分析では、小児と成人のADは、肺炎(オッズ比 [odds ratio: OR] 1.72,95%信頼区間 [confidence interval: CI] 0.75-3.98)では明らかではなかったものの、耳の感染症(OR 1.29,95%CI 1.16~1.43)、レンサ球菌咽頭炎(OR 2.31; 95%CI 1.66-3.22)、尿路感染(OR 2.31; 95% CI 1.66-3.22)のオッズ増加と関連した。
■ 出版バイアスは検出されなかった。
制限事項
■ 個々のレベルのデータは入手できなかった。
結論
■ AD患者は皮膚以外の感染症の可能性が高くなる。
■ これらの関連を確認し、そのメカニズムを決定するためには、今後の研究が必要である。
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アトピー性皮膚炎は、皮膚以外の感染症を増やすかもしれない。
■ 論文のディスカッションに記載されていましたが、皮膚の疾患であるアトピー性皮膚炎が、皮膚以外の感染症を起こすメカニズム自体はよくわかっていないとされていました。
■ しかし、皮膚は最大の免疫臓器のひとつですし、感染症のリスクがあがることは想像できるようにも思います。
■ 現在、感染症のリスクを想定しなければいけない時期です。セルフケアを丁寧にしておくことは重要だろうと考えています。
今日のまとめ!
✅ アトピー性皮膚炎は、肺炎よりも、中耳炎などの耳関連の感染症や、溶連菌感染症のリスクをあげる。