以下、論文紹介と解説です。
Cardona ID, et al. Frequent Versus Infrequent Bathing in Pediatric Atopic Dermatitis: A Randomized Clinical Trial. J Allergy Clin Immunol Pract 2020; 8:1014-21.
生後6か月から11歳の中等症から重症アトピー性皮膚炎児42人を1日2回の入浴群と週2回の入浴群にランダム化クロスオーバーし、改善度を比較した。
背景
■ 小児アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis; AD)における入浴頻度を評価する研究は限られている。
■ そのためADのある児の親はしばしば矛盾する情報を受け取るため、不満や混乱がある。
目的
■ 小児ADの急性期の管理における、1日2回の入浴+その後のすぐ保護的保湿剤(浸軟と閉鎖; soak-and-seal; SS)と、週2回のSS浴の有効性を比較評価する。
方法
■ 生後6か月から11歳の中等症から重症AD児において、頻回SS浴と低頻度SS浴を比較するランダム化シングルブラインドクロスオーバー対照比較試験を実施した。
■ 小児を1:1で2群に無作為化した。
■ すなわち、グループ1は10分以下、週2回のSS浴を2週間以上(乾燥法“dry method;DM)、続いて1日2回 15~20分のSS浴を2週間以上(湿式法“wet method; WM”)を受けた。
■ グループ2はその逆を行った。
■ 患者は同じ保湿剤、洗浄剤、低い力価のステロイド外用薬(topical corticosteroid; TCS)を投与された。
■ プライマリアウトカムはSCORing Atopic Dermatitis (SCORAD)インデックスを用いて評価したADの重症度だった。
■ 保護者の評価したADの重症度(Atopic Dermatitis Quickscore [ADQ])、生活の質、黄色ブドウ球菌コロニー形成、皮膚水分量、保湿剤、TCS使用を評価した。
結果
■ スクリーニングを受けた小児63人のうち、42人が選択基準を満たし、ランダム化された。
■ 40人(95%)が研究を完了した。
■ WM(1日2回入浴群)はDM(週2回入浴群)と比較してSCORADを21.2減少させた(95%信頼区間 [confidence interval; CI], 14.9-27.6; P < .0001)。
■ 二次解析からは、DMよりWMでSCORADが30%以上改善した(McNemar's χ2 = 8.83, df = 1, P = .0030)。
■ SCORADはADQ(r = 0.66)と相関し、ADQもWM群においてADQを5.8(95%CI 1.8-9.7)減少させ大幅な改善を示した。
■ 他のセカンダリエンドポイントは有意差を示さなかった。
結論
■ 急性期の治療介入として、WMは中等症から重症の小児ADにおける疾患重症度の改善においてDMより優れている。
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入浴頻度とアトピー性皮膚炎の治療に関しては、混乱しやすい。
■ この報告にもあるように、入浴頻度と洗浄に関しては迷いやすいものです。
■ ですのでこの問題に関しては発売予定の著書のなかでも詳しく書きましたが、結局は重症度とその治療段階で変更する必要性があると考えられます。
■ すなわち、『頻回に入浴しないといけない』と一方のみいうわけではなく、中等症以上のアトピー性皮膚炎の初期治療には入浴頻度を上げる必要性があると考えています。
■ この報告は今の環境では全文が読めなかったので、読めるようになったらもう少し詳しく掘り下げたいと思います。
今日のまとめ!
✅ 中等症から重症のアトピー性皮膚炎児において、治療初期の入浴頻度は多い方が改善が良いようだ。