『Th2サイトカイン(アレルギー疾患に関与する情報伝達物質)』が高いと、新型コロナウイルス(SARS-Cov2)が人体に侵入するための受容体のひとつであるACE2を阻害し、重症化を防ぐのではないかと考えられている。その論考の後半。
■ 昨日のつづきです。
■ 前回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はACE2受容体を通して悪化し、アレルギー疾患に関与するTh2サイトカインによりその機能を低下させる可能性があるという論考の前半でした。
■ すなわち、『アレルギー性の』喘息は、新型コロナが悪化しにくくなる可能性があるとまとめられます。
■ しかし、この論考には考えておかなければならない限界があります。論文の後半をご紹介します。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
喘息は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の悪化因子となるかをレビューの後半では、
✅ データはすべてレトロスペクティブまたは横断的に得られたものであり、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で喘息を合併している患者におけるIFN産生やACE2の発現についての検討が十分に行われていない(ACE2と新型コロナの関係は、あくまで推論になる)。
✅ 喘息患者のフェノタイプ/エンドタイプ(理論的にはTh2高値群のみがACE2発現が低い)、肺機能、喘息のコントロール状態、治療方法に関する詳細な情報は報告されていない(まだ情報が不確実)。
✅ 治療をステップダウンすることを支持したり、推奨するデータは現在のところないため、喘息患者のCOVID-19を過小評価してはならない。
✅ 現在米国では、喘息などのアレルギー疾患を持つ児と持たない児でSARS-CoV-2の感染率が異なるかどうかを調査するというHEROS試験が開始されている。
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