以下、論文紹介と解説です。

Elizur A, et al. Cashew oral immunotherapy for desensitizing cashew-pistachio allergy (NUT CRACKER study). Allergy; n/a.

4歳以上のカシューナッツアレルギー患者50人に対し、カシューナッツタンパク質1200mgを6ヶ月間摂取させて除去を継続した群と比較した。

背景

■ 経口免疫療法(Oral immunotherapy; OIT)は、牛乳、卵、ピーナッツアレルギーの患者の治療法の一つであるが、カシューナッツOITの有効性と安全性に関するデータは限られている。

 

方法

■ 4歳以上のカシューナッツアレルギー患者50人の集団を、2016/4~2019/12にカシューナッツOIT(目標用量4000mgタンパク質)に逐次的に登録した。

■ カシューナッツ除去を継続した15人のカシューナッツアレルギー患者が観察的対照となった。

■ ピスタチオやクルミに対する併発アレルギーを判定した。

■ 両群の完全脱感作率とそれに伴う免疫学的変化を比較した。

■ カシューナッツに完全に感作された患者は、カシューナッツタンパク質1200mgを6ヶ月間摂取するように指示され、その後、全量摂取にチャレンジした。

■ ピスタチオまたはクルミに併発アレルギーのある患者には、それぞれのナッツにもチャレンジした。

 

結果

■ OIT治療を受けた患者50人中44人(88%)が、対照群の0%と比較して、試験終了時に4000mgのカシューナッツタンパク質に耐えた(オッズ比8.3; 95%CI 3.9-17.7; p < 0.001)。

■ さらに3人がカシューナッツ蛋白質1200mgに脱感作され、3人は治療を中止した.

■ 3人(6%)は、家庭内でのアレルギー反応のためにアドレナリン注射で治療された。

■ 脱感作された患者は、治療後、SPT、sIgE、好塩基球反応性が低下し、sIgG4が増加した。

■ カシューナッツの脱感作後,ピスタチオ(n = 35)の患者全員と,クルミの併存アレルギー患者8人のうち4人が、それぞれのナッツに対して交差感作した。

■ 脱感作後、低用量のカシューナッツを6ヵ月以上摂取していた患者(n=44)の全員が,総用量のカシューナッツOFCをパスした。

 

結論

■ カシューナッツOITは、大部分のカシューナッツアレルギー患者を脱感作し、ピスタチオに対しては交差的に脱感作される。

■ 安全性は他の食品に対するOITと同様だった。

 

カシューナッツクルミも経口免疫療法は可能と思われるが、もちろん一般診療として推奨されるという意味ではない。

■ 経口免疫療法は、リスクもあるうえ食べられるようになったとしても中断すると多くは再燃することが知られています。

■ ですので、カシューナッツクルミに限らず、いくつかの条件がガイドラインで提示されています。

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