以下、論文紹介と解説です。

Koizumi M, Kuzume K, Ishida Y, Midoro-Horiuti T. Serum thymus and activation-regulated chemokine (TARC) levels correlate with atopic dermatitis disease severity in patients < 6 months. Allergy Asthma Proc 2022;43:461-7.

生後3~5か月のアトピー性皮膚炎患者35人の、血清TARC値とSCORADスコアの相関を検討した。

背景

■ アトピー性皮膚炎(Atopic dermatitis; AD)は生後6ヶ月までに発症する可能性があり、適切な治療を行うためにはその重症度評価が不可欠である。

■ アトピー性皮膚炎の重症度評価にはScoreing Atopic Dermatitis(SCORAD)が提案されているが、日常臨床で使用するには煩雑な点がある。

■ 血清thymus and activation-regulated chemokine(TARC)は、ADの重症度マーカーとして使用されている。

■ しかし、TARCの正常値は年齢によって異なり、生後6カ月未満の患者におけるADの重症度評価としての有用性は確立されていない。

■ そこで、乳幼児期における血清TARC値とSCORADスコアの相関を検討し、ADの重症度を示す最適なカットオフ値を調査した。

 

方法

■ 対象は、2015年4月から2017年3月までに受診したAD患者35人(女児16人、男児19人、生後3~5か月)である。

■ 全例にアレルギー専門医による身体診察を行った。

■ AD重症度は、血清中のTARC、総免疫グロブリンE(IgE)、乳酸脱水素酵素、末梢好酸球数とともに、SCORADを用いて決定した。

■ ADの重症度を示す血清TARCのカットオフ値を決定するために、Receiver Operating Characteristic Curve分析を実施した。

 

結果

■ SCORADと血清TARC値、末梢好酸球数、血清IgE値に有意な相関が認められた(それぞれr = 0.640, r = 0.723, r = 0.533, )。

■ 軽症・重症ADを示す血清TARCの最適カットオフ値は、それぞれ<3523 pg/mL(area under the curve [AUC] = 0.856)、>6192 pg/mL(AUC = 0.833)だった。

 

結論

■ 本研究には限界があるが、血清TARCは生後6ヶ月未満の患者におけるAD重症度のマーカーとして有用であることが示唆された。

 

生後3~5ヶ月のTARC値に関する貴重な報告。

■ 35人のデータとやや数がすくないので、数値のばらつきが大きそうではありますが、参考になるデータといえるでしょう。

■ (やや高すぎるような気もしますが)、私の生後6ヶ月未満の初診患者さんを多く拝見するので、臨床経験と照らし合わせ確認していきたいと思っています。

 

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