ピーナッツアレルギーの経口免疫療法として、どれくらいの期間食べ続ければある程度自由に食べられるようになるか?

食物アレルギーの経口免疫療法、成功したとして、いつまで続ければ安定するのか?

■ 食物アレルギーに対し、標準的とはいえないものの広く行われている治療法は『経口免疫療法』でしょう。

■ 経口免疫療法の問題点のひとつに、食べられるようになっても継続して摂取しなければならないことが挙げられます。

■ 研究的には、耐性を判断するのはむずかしく、その間の概念として『持続的無反応(これまではSustained Unresponsiveness;SUといわれていました)』があります。

■ 持続的無反応は、『ある程度』摂取間隔があいても食べられるという状態です。

■ では、SUを達成するための治療期間はどれくらいでしょうか。

■ 最近、ピーナッツ経口免疫療法における期間と持続的無反応達成との関連を調査した研究がありました。

 

Yamashita K, Nakamura T, Imai T, Honda A, Okada Y, Maeda M, et al. Optimal period for achieving sustained unresponsiveness in peanut oral immunotherapy. Asia Pac Allergy 2023; 13:97-104.

ピーナッツアレルギーのために経口免疫療法を受けた患者48名を対象とし、増量期、維持期、完全除去期後に経口食物負荷試験を実施し、SU(持続的無反応)を確認した。

背景

■ 経口免疫療法(OIT)は、食物アレルギーに対して持続的無反応(SU)を達成するのに有効である。
■ しかしながら、SUを獲得するための最適な治療期間は未だ明らかでない。

目的

■ 我々の研究の目的は、OIT治療期間とSU達成との関連をレトロスペクティブに調査することであった。

方法

■ 2018年1月1日から2022年12月31日に、ピーナッツアレルギーのためにOITを受けた患者を対象にした。
■ OITプロトコールは、増量期、維持期、完全除去期、そして経口食物負荷試験(OFC)を含み、OFCはSUを確認するために実施された。
■ OFCにおいて、ピーナッツの用量は徐々に3,000mg(ピーナッツタンパク質:795mg)まで増量され、その後5ヵ月以上維持された。
■ SUは、2週間以上の完全除去後、795mgのピーナッツ蛋白質に対して陰性反応を示した場合に定義された。

■ カプランマイヤー解析を用いて、SUを達成するための治療的OIT期間を評価した。

結果

■ 48名がピーナッツOITを受け、OIT開始時の年齢の中央値は8歳(四分位範囲[IQR]、7~10歳)だった。

■ 41例(85%)にはアナフィラキシーの既往が確認され、OIT開始時のピーナッツおよびAra h 2に対する特異的免疫グロブリンE濃度の中央値は、それぞれ85.3(IQR、33.7-100)および57.6(IQR、21.9-100)UA/mLだった。

■ 観察期間の中央値は2.1(IQR、1.6-3.0)人年だった。

■ 34例(71%)がSUを達成し、SU達成率は治療期間とともに徐々に増加した。

■ SU達成までの期間の中央値は2.1(95%信頼区間、1.6-2.5)人年だった。

■v SU達成率は2.7年後に鈍化した。

結論

■ 少なくとも2.7人年のOITはSU達成率を高めることができる。

 

 

※ 論文の背景とその解説・管理人の感想は、noteメンバーシップでまとめました。

 

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