新生児期からの保湿剤定期塗布は、アトピー性皮膚炎の発症を予防するか?
■ 新生児期からの保湿剤定期塗布がアトピー性皮膚炎の発症を予防するかどうかというテーマに関しては、否定的な報告が増え、もっとも最近のコクランシステマティックレビューでは、無効であると結論付けられています(Kelleher MM, Cro S, Cornelius V, et al. Skin care interventions in infants for preventing eczema and food allergy. The Cochrane database of systematic reviews. 2021;2(2):Cd013534.)。
■ しかし、その後、気候によっては有効性が高い、もしくは生後早期(4日以内)から開始すると有意に改善するなどといったランダム化比較試験も現れています。
■ そして、ハイリスク群に対しての有効性を示唆するシステマティックレビューも報告されるようになりました。
■ さらに最近、欧州皮膚科科学会雑誌(European Academy of Dermatology and Venereology)に、新しいシステマティックレビュー&ネットワークメタアナリシスが報告されましたので共有します。
この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?
乳幼児期からの保湿剤定期塗布によるアトピー性皮膚炎の発症予防をあつかった11研究に対する、システマティックレビュー&メタアナリシスを実施したところ、
✅直接メタアナリシスでは、保湿剤の早期塗布がハイリスク乳児のアトピー性皮膚炎の発症を効果的に予防することが示唆された(リスク比[RR] 0.64;95%信頼区間[CI]0.47~0.88)。
✅ ネットワークメタアナリシスでは、保湿乳液が乳児のAD発症を予防するためのより良い選択肢である可能性が示唆され、累積順位曲線下面積(surface under the cumulative ranking curve; SUCRA)はすべての集団で82.6%、ハイリスク集団で78.0%、食物感作の集団で79.2%だった。