ブデソニド吸入薬(商品名パルミコート)の早期吸入開始が、新型コロナの増悪をへらすかもしれない(STOIC試験)

吸入ステロイド薬の早期開始が、COVID-19(新型コロナ感染症)の増悪をへらすかどうかは、十分な結論にない。

■ 新型コロナの流行早期に、シクレソニド(商品名オルベスコ)が悪化を防ぐのに有効ではないかという提言があり、その後日本でランダム化比較試験が行われました。

■ 結果は、『肺炎増悪率は、シクレソニド吸入剤投与群41例中16例(39%)、対症療法群48例中9例(19%)であり[リスク差 0.20(90%信頼区間 0.05-0.36)、リスク比 2.08(90%信頼区間 1.15-3.75), p=0.057]、対症療法群と比べてシクレソニド吸入剤投与群の方が有意に肺炎増悪が多い』という、予想を裏切る結果でした。

吸入ステロイド薬シクレソニド(販売名:オルベスコ)のCOVID-19を対象とした特定臨床研究結果速報について

■ そのため、あくまで喘息の予防として吸入ステロイド薬は推奨されるものの、COVID-19の初期治療としては現在積極的には使われていない状況と言えます。

■ しかし、喘息患者がCOVID-19の増悪がすくないという疫学データもあり、吸入ステロイド薬が初期治療に有効かもしれないという考えはまだ根強くあり、各国で試験が行われています。

■ そのうちのひとつ、STOIC試験が4月9日、Lancet Respir Med. に報告されました。

 

この論文でわかったことを、ざっくりまとめると?

新型コロナの軽症の症状を発症してから7日以内の成人146人を、通常ケア群、ブデソニド群(1回400μg1日2回)にランダム化し、新型コロナによる緊急医療機関への受診率などを比較したところ、

 ✅ 新型コロナによる緊急医療機関への受診率(主要評価項目)は、通常ケア群で11人(15%)、ブデソニド群で2人(3%)であり、ブデソニド群のほうが少なかった(割合の差0.123; 95%CI 0.033~0.213; p=0.009)。

 ✅ ブデソニド群では、通常ケア群に比べて臨床的回復が1日短かった(中央値でブデソニド群7日[95% CI 6~9]、通常ケア群 8 日 [7~11]; log-rank 検定 p=0.007)。

 ✅ ブデソニド投与群では、通常のケア群に比べて、14日目と28日目に症状が持続した患者が少なかった(割合の差 0.204; 95%CI 0.075~0-334; p=0.003)。

※ブデソニド吸入薬は、新型コロナ感染症に対する保険適応はありません。

 

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