母の摂取したピーナッツは、母乳中に分泌されているか?

2017年9月23日

Schocker F, et al. Prospective investigation on the transfer of Ara h 2, the most potent peanut allergen, in human breast milk. Pediatr Allergy Immunol 2016; 27:348-55.

母乳中に、母の摂取した食物は分泌されているか?

■ 月曜当直→水曜外来→そのまま当直→木曜外来・午後まで仕事→金曜午前外来・午後も外来→土曜日1日外勤の地獄のロード中です(-_-;)。労働基準法は医師には適応されないんですよね、、、。でも、Abstract中心ながら今週は論文紹介の穴は開けずにすみそうです。で、時間がないのに、ブログのタイトル表示とかを変えてみました。ここまで来ると、趣味の世界ですね。

■ さて、以前、母の摂取した卵が母乳中には分泌されており、むしろ卵アレルギー予防に働いているかもしれないことをご紹介いたしました。

■ 今回は、母の摂取したピーナッツが母乳に分泌されているかどうかを検討した報告です。

 

 

 32人の母親にピーナッツを摂取してもらい、母乳を採取。

背景

■ ピーナッツアレルギーは、最も重篤な食物アレルギーの1つである。

■ 母乳育児がピーナッツに対する耐性を誘導するのか、それとも反対に、ピーナッツに潜在的にアレルギー感作されているリスクのある赤ちゃんを事前に改善させるのかは議論の対象になっている。

■ ドイツにおける母乳の研究において、最も強いピーナッツアレルゲンであるAra h 2がヒト母乳への混入するかどうかを調査し、母乳中に分泌されたAra h 2の時間動態を明らかにしようとした。

 

方法

■ 32人のピーナッツアレルギーのない授乳婦をリクルートし、100gの乾燥ローストピーナッツを摂取した後、異なる時点で母乳サンプルを採取した。

■ 母乳サンプルは、異なる免疫学的手法を用い、Ara h2を調べられた。

■ すなわち、Ara h 2に対するモノクローナル抗体を用いた親和性の強化を用いた、患者血清の二次元イムノブロットが用いられた(LC-MS / MSおよび、Ara h 2とその消化耐性ペプチド[DRP-Ara h 2]に対する競合的阻害ELISA)。

 

結果

■ 定性分析では、Ara h 2は患者血清を用いた二次元イムノブロット、さらに免疫親和性強化後のLC-MS / MS分析によって、母乳サンプル中に同定された。

■ 半定量分析では、Ara h 2およびその消化耐性ペプチドが32人の被験者のうち9人の母乳中に検出された。

■ Ara h 2は、早期に(1、2、3、4時間後)または遅れて(8時間または12時間後)、異なる濃度でそれぞれ分泌されることが示唆された。

論文から引用。32人のうちの9人において、ピーナッツアレルゲンは、母乳から分泌されており、その濃度はAra h2が母乳1mlあたり46~2602ngだった。

* 管理人注;mgの1/1000がμg、μgの1/1000がngです。

結論

■ 母乳中に分泌されたAra h 2の時間および濃度は、個々に調節されているようである。

■ 母乳中のAra h 2の同定は、その感作能または寛容原性の研究の前提条件になる。

 

結局、何がわかった?

 ✅母がピーナッツを100g摂取してからの母乳には、それぞれ分泌まで時間も量にも差があるもののピーナッツ蛋白が検出された。

 

 

 母乳中には、母の摂取した食べ物が存在するようだ。

■ 母乳中には母の摂取したピーナッツが分泌されていることは確かなようです。

■ ただし、これが感作(アレルギーの悪化・発症リスク)に結びつくと考えるのは早計で、むしろ予防に働く可能性さえあることは上に示したとおりです。

■ さらに、羊水中にもすでに食物抗原は検出されているという報告もあります。ただし、これも発症に結びついているかどうかはまだはっきりしていません。

■ むしろ、妊娠初期のそれら食物の摂取が、こどものアレルギーを予防する可能性も報告されています。

■ 一方で、「偏りすぎ」「食べ過ぎ」は悪化に働くという報告もあります。

■ 結局、妊娠中の食事に関してはバランスでしょうという結論(母乳中にピーナッツや卵を食べてはいけないではないし、かといって特定の食べ物ばかり食べることも勧められない)になりそうです。

■ さらに言えば、お子さんが出生した後の、スキンケアと計算した離乳食開始のほうが、よほど予防には重要だと考えられます

 

 

 

今日のまとめ!

 ✅母の摂取したピーナッツは母乳中に分泌される。ただし、その分泌されたピーナッツは子どものピーナッツアレルギー発症にはつながっていない。