
Sly PD, Varghese J, et al. Severe winter asthma exacerbations can be prevented by omalizumab, but there is no carryover effect. J Allergy Clin Immunol 2017; 139:703-5.e4.
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■ これまで、オマリズマブ(商品名ゾレア)で軽減した食物アレルギーは、中止すると再燃するかもしれないという報告や、オマリズマブ(ゾレア)はアトピー性皮膚炎に効果があるか?と言う報告をご紹介してきました。
ゾレアで軽減した食物アレルギー反応は、中止すると再燃するかもしれない: 症例集積研究
オマリズマブ(ゾレア)はアトピー性皮膚炎に効果があるか?:システマティックレビュー&メタアナリシス
■ 本来はゾレアは食物アレルギーやアトピー性皮膚炎ではなく喘息に使われ、本邦でも保険適応となっています。そして特に秋の発作(1年の中で最も発作が多い)を減らすことがわかっています。
■ では、ある年に投与されたゾレアの効果は、次のシーズンまで効果が続くのでしょうか。
E: オマリズマブの治療期間の冬季
C: オマリズマブの治療期間の次年度の冬季
O: オマリズマブは次年度まで効果が持続するか
結果
■ すべての小児はエアロアレルゲンに感作されており、平均7.7年間、喘息に罹患していた。
■ ベースライン時の総IgE値にもとづき、オマリズマブ(n = 14)もしくはプラセボ(n = 13)を5ヵ月間投与されていた。
■ 25人の小児は研究治療を完了し、22人は追跡調査を完了した。
■ プラセボ群におけるインシデント率(6例)は、オマリズマブ群(1例)より10.8倍多いと見積もられた(P = .024)。
■ 初回の重篤な増悪までの時間は、オマリズマブ群でより長った(平均、240.5日[SD 87.9日]対107.0日[SD 115.9日]; P = .08)。
■ しかし、次年度の追跡調査期間では、重篤な増悪率の差は変化しなかった(インシデント率 0.45; P = .45)。
コメント
■ 秋季のウイルス感染期間の喘息増悪に関してオマリズマブ(ゾレア)の効果はすでに報告されています(N Engl J Med 2011;364:1005-15.)。
■ 上で述べた食物アレルギーを抑える効果と同様に、オマリズマブの喘息予防効果は明らかですが、その効果は次のシーズン(冬)までは続かないとまとめられるでしょう。