食物アレルギーに対するアレルゲン免疫療法は効果があるか?:システマティックレビュー&メタアナリシス

Nurmatov U, Dhami S. Allergen immunotherapy for IgE-mediated food allergy: a systematic review and meta-analysis. Allergy. 2017[Epub ahead of print]

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■ 今週から来週にかけて、免疫療法の話題が続く予定です。

アレルゲン免疫療法(Allergen immunotherapy;AIT)は食物に限らず、アレルギー疾患の根治や予防に効果があると期待され、注目を集めています。

■ しかし、まだまだ研究は不十分であり、今回、食物アレルギーに対するAITの効果・リスクに対するメタアナリシスが発表されました。

■ まだ電子版のみではありますが、全文がフリーで読めますので、少し詳しめにご紹介いたします。

PECO
P:9つの国際的な電子データベースを検索して抽出した、食物アレルギーに対する免疫療法を検討した31研究(RCT 25件と非ランダム化研究 6件)
E: 食物アレルギーに対する免疫療法
C:プラセボ/コントロール
O: 食物アレルギーに対する免疫療法の効果と有害反応

 

結局、何を知りたい?

 ✅食物アレルギーに対する免疫療法の効果とリスクを多くの文献をまとめて検討しようとしている。

 

結果

■ 経口免疫療法(oral immunotherapy;OIT)25件、舌下免疫療法(sublingual immunotherapy;SLIT)5件、皮膚免疫療法(epicutaneous immunotherapy;EPIT)1件が評価された。

■ 27研究は脱感作(desensitization)を評価し、9研究は免疫療法後の中断のうえで持続性耐性(sustained unresponsiveness;SU)を評価した。

■ 牛乳16研究、鶏卵11研究、ピーナッツ7研究、ヘイゼルナッツ1研究、モモ2研究、リンゴ3研究、魚3研究あり、他の2研究は、オレンジ・穀物・豆・レタス・小麦・豆を含む種々の食物アレルゲンで実施されていた。

■ 地域別に、イタリア(n = 9)、スペイン(n = 7)、米国(n = 6)、フランス(n = 3)、オーストラリア(n = 1)、フィンランド(n = 1)、ドイツ(n = 1)、イラン(n = 1)、韓国(n = 1)、英国(n = 1)で実施されていた。

■ メタアナリシスはAITが脱感作を誘導する相当な有益性を示唆したが(リスク比 [RR]= 0.16、95%CI 0.10-0.26)、SUは確認されなかった(RR = 0.29、95%CI 0.08-1.13)

■ バイアスのリスクが高いと判断された研究を除く更なる感度解析は、かなりの有益性を再確認した(RR = 0.15、95%CI 0.09-0.25)。

■ バイアスのリスクが高いと判断される研究を除く更なる感度解析(OITまたはSLIT)はかなりのリスク低下を示した(RR OIT = 0.17、95%CI 0.11-0.26)(RR SLIT = 0.31、95%CI 0.10-0.98)

■ AIT(OIT対SLIT)の投与経路に基づくサブグループ分析では、OIT(RR = 0.14、95%CI 0.08-0.24)とSLIT(RR = 0.26、95%CI 0.10-0.64)は効果的であることを示唆した。

■ 年齢に基づくサブグループ分析(18歳までの小児、≧18歳の成人、0-55歳全体)は、小児群と全体群のみリスクが低下し(小児RR= 0.16、95%CI 0.09-0.27)(全体RR= 0.04、95%CI 0.01-0.19)、成人では低下しなかった(成人RR= 0.56、95%CI 0.23-1.36)。

■ アレルゲンによるサブグループ分析(牛乳 13件、鶏卵 11件、ピーナッツ 4件)は、OIT/SLITにおいて、牛乳、鶏卵、ピーナッツアレルギーのリスクを減らすことを示唆した(牛乳RR = 0.12、95%CI 0.06-0.25)(鶏卵RR = 0.22、95%CI 0.11-0.45)(ピーナッツRR= 0.11、95%CI 0.04-0.31)。
■ 1研究のみ、疾患に対するQoLについて報告したが、OITと対照群に違いを報告しなかった。

■ サブグループ分析は、OITを実施している群では、全身反応を経験するリスクが高いことを示唆した(RR 1.16、95%CI 1.03-1.30)。

■ 対照的に、SLITの2研究は両群に全身反応のリスクに有意差を認めなかった(RR 0.98、95%CI 0.85-1.14)。

■ バイアスのリスクが高いと判断されるすべての研究を除いた感度解析は、2群における全身反応率のリスクは、OIT+SLITで境界線上の有意差(RR= 1.10、95%CI 0.99-1.23)、OITでは有意差を示した(RR1.17、95%CI 1.03-1.33)

■ 牛乳に対する研究におけるサブグループ解析は全身反応のリスクががAIT群でより効率であることが示唆された(RR= 1.19、95%CI 1.03-1.37)。

■ 局所的な有害事象に関するサブグループ解析はOITでリスクが高く(RR= 2.14、95%CI 1.47-3.12)、バイアスが高いと考えられた研究を除いても同様だった(RR=2.58、95%CI 1.43-3.02)。

■ メタアナリシスにより、全身性有害反応を経験するリスクがAITを実施されている患者でより高いことが判明し、さらに多い局所の有害反応のリスクが増加していた。
しかし、バイアスが高いと判断された研究を除く感度解析は、食物アレルギーAITの有効性および安全性に対し十分であると推定された。

■ いずれの研究も、健康経済解析は報告しなかった。

結局、何がわかった?

 ✅アレルゲン免疫療法は、OIT(経口ルート)、SLIT(舌下ルート)、EPIT(皮膚ルート)があり、脱感作(少なくとも食べ続けていれば食べられる)のリスクを0.16倍程度にする(ざっくりいうと、食べられないリスクを2割以下にする)。

 ✅OITとSLITには有意な効果があり、OITのほうが効果は高いようだがSLITのほうが安全性は高い。EPITは、まだデータが限られている。

 

コメント

■ AITは、IgE依存性食物アレルギー患者に対し、実施されている間(脱感作)もしくはAIT後の摂取閾値を上げるのに効果的である可能性があるとまとめられていました。

■ しかしながら、重大な全身性有害反応の、ある程度のリスク増加と、軽度の局所有害反応がかなり増加すると予想されるとし、さらに多くのデータが、成人、長期効果、QoLへの影響、費用対効果に関して必要であるとされていました。

■ 専門医の先生方にとっては常識でしょうけれども、脱感作(desensitization)と持続性耐性(sustained unresponsiveness;SU)は異なります。脱感作は摂取中断すると再燃する可能性を残し、SUは中断しても食べられる(治癒と表現してもよいでしょう)ことを示します。

 

今日のまとめ!

 ✅アレルゲン免疫療法は、経口・舌下で効果があるといえるが、リスクはあり、さらに成人・長期効果・生活の質(QoL)、コストなど、研究が必要である。

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