Narisety SD, et al. A randomized, double-blind, placebo-controlled pilot study of sublingual versus oral immunotherapy for the treatment of peanut allergy. J Allergy Clin Immunol 2015; 135:1275-82.e1-6.
経口と舌下。食物アレルギー治療の2つのルート。
■ 少し古めの論文ですが、食物アレルギー治療に対する経口免疫療法(OIT)と舌下免疫(SLIT)をランダム化比較試験で比べた、重要な論文です。
■ 現在、食物アレルギーの治療は、OITを中心に、SLITと経皮免疫療法(EPIT)が主なルートになってきています。
ピーナッツ経皮的免疫療法(EPIT)は有効である: ランダム化比較試験
■ この論文はすでに、全文がフリーで読めるようになっています。
E:経口免疫療法あり/舌下免疫(プラセボ) 12もしくは18か月の治療後、4週間中断
C:経口免疫療法(プラセボ)あり/舌下免疫あり 12もしくは18か月の治療後、4週間中断
O:ピーナッツに対する経口免疫療法と舌下免疫療法の効果・安全性に違いはあるか
結局、何を知りたい?
✅食物アレルギーの治療として、経口ルートと舌下ルートのどちらがより有効であるかどうかを確認しようとしている。
ピーナッツアレルギー治療を、経口と舌下で比較。
■ 最大用量はSLIT 3.7mg/日またはOITは2000mg/日まで増量された。
■ 参加者は、6か月、12ヵ月の維持期間後、再負荷試験を実施された。
■ 盲検化を開示した後、治療法はさらに6ヵ月の追加治療を行うためにプロトコルごとの改良がおこなわれた。
■ 12もしくは18ヵ月後に負荷試験を通過した参加者は、4週間治療を中断し再負荷試験を行われた。
■ 5人は、盲検化フェーズで治療が中断された。
■ 残りの16人すべては、12ヵ月後に負荷試験閾値が10倍以上に増加し、負荷閾値量は、OIT群がSLIT群より有意に多かった(141倍vs22倍、P=0.01)。
■ ピーナッツに対する皮膚検査と特異的IgE抗体価、特異的IgG4抗体価に対する効果は、全体的にOITのほうが高かった。
■ 有害反応は、通常軽微だったが、中等度の反応や薬物療法を必要とすることを含み、OITのほうがより一般的だった(P < 0.001)。
■ 研究終了後、4人がsustained unresponsiveness(SU)を達成した。
結局、何がわかった?
✅ ピーナッツアレルギーの治療に対し、経口ルートは舌下ルートより効果的ではあるものの有害反応は早期の研究撤回が有意に多かった。
舌下より経口のほうが効果が高い。しかし経口のほうが副作用が多い。
■ ピーナッツアレルギーの治療に対し、OITはSLITより効果的ではあるものの有害反応と早期の研究撤回が有意に多かったとまとめられます。
■ 牛乳に関しては、すでに先行研究でOITがSLITより効果的と報告されています(Keet CA, et al. The safety and efficacy of sublingual and oral immunotherapy for milk allergy. J Allergy Clin Immunol 2012; 129:448-55, 55.e1-5.)ので、この傾向は概ね多くの食品で言えることでしょう。
■ OITの安全性の改善は様々な方法が試みられるようになってきており、例えばゾレアを投与したり、加水分解して低アレルゲン化(乳ではなく卵で!)したりといった方法です。
■ 4週治療中止後のSU(持続性耐性)は、少数にとどまったとされています。最近の結果では、OITに関しては長期に摂取を継続したほうがSU率があがると報告されています。
鶏卵経口免疫療法において、長期間継続したほうが完全寛解率が上昇する
今日のまとめ!
✅ ピーナッツアレルギーの免疫療法治療に関し、経口ルートは舌下ルートより効果的ではある。ただし、有害反応は多くなる。