乳児期にイブプロフェンは危険なのか?

Ziesenitz VC, et al. Efficacy and Safety of Ibuprofen in Infants Aged Between 3 and 6 Months. Paediatr Drugs. 2017.[Epub ahead of print]

日本ではアセトアミノフェンが基本。海外では比較的低年齢からイブプロフェンを使うという方法もあるようです。

■ 昨日夜に日本皮膚科学会から帰ってきまして、今日は早速当直真っ最中です、、スキマ時間に更新しております、、、

■ さて、我々小児科医は小児の解熱鎮痛薬において、基本的にアセトアミノフェンを使うことが多いです。

■ また、6ヶ月未満のお子さんに対しては、一般的にはクーリング(冷やすこと)で十分対応でき、その指導をします

■ 一方で、海外では比較的低年齢からイブプロフェンを使い、市販薬でも入手できるようです。

■ 本邦でも、低年齢時にイブプロフェンの薬物誤飲も起こりえますので、低年齢でのイブプロフェンがはたして安全なのかに関する論文を紹介いたします。

 

PECO
PECOはなし。

 

結局、何を知りたい?

 ✅3-6ヶ月の乳児に対し、イブプロフェンが安全かどうかということを知ろうとしている。

 

Abstractのまとめ

■ イブプロフェンはしばしば熱と疼痛を軽減させるために、さまざまな年齢の小児に投与される非ステロイド性抗炎症薬であり、世界的に多くの国のOTC(医師の処方なしで売れる)薬物として承認されている。

■ 小児と成人において、多くのデータがその有効性と安全性に存在するが、特に生後3~6ヵ月の月齢においては、鎮痛剤と発熱に対する推奨は異なる。

■ 疼痛と発熱処置に対しての適切な方法を、この年齢層で確認するために、乳児でのイブプロフェン使用における安全性および有効性を評価した。

■ 結果として、現在のエビデンスでは、患者の水分摂取に対して十分な注意が払われる場合、イブプロフェンの短期使用は5-6kg以上の体重の生後3ヵ月以上の乳児で安全であるとみなされた。

■ また、イブプロフェンは、5-10mg/kgの用量を体重に基づき処方されなければならない。

■ この用量は、1日最大総投与量30-40mg/kgになり、1日3-4回投与されることが可能である。

■ ただし、特に乳児において、座薬による投与では、不規則な吸収のために信頼性が高くないことが示唆された。

■ 大部分の有効性と安全性のデータは発熱による研究に基づいたため、今後の研究は疼痛に対するイブプロフェンの有効性に重点を置くべきである。

 

結局、何がわかった?

 ✅少なくとも海外の総論では、3-6ヶ月の乳児に対する安全性が示唆されている。

 

コメント

■ 今回の論文に関し、わたしは、3-6ヶ月の乳児に対してイブプロフェンを使うことを推奨するために紹介したわけではありません

■ あくまで、薬物誤飲の場合に、「海外ではこの月齢でも大きな問題なく内服することがあるようですよ」とお伝えするための紹介と思っていただければと思います。

■ 海外と本邦では、アセトアミノフェンの内服量も異なる(海外の方が多い)こともあり、本邦では少し慎重に捉えるべきとも言えましょう。

■ また、感冒時の解熱薬は、発熱期間を延長する可能性も示唆されています。

 

今日のまとめ!

 ✅あくまで海外での報告ではあるが、低年齢でのイブプロフェンは大きな問題はないようだ。

 

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