Li AW, Yin ES, Antaya RJ. Topical Corticosteroid Phobia in Atopic Dermatitis: A Systematic Review. JAMA Dermatol 2017. [Epub ahead of print]
ステロイド忌避(恐怖症)のシステマティックレビュー。
■ ステロイド忌避(恐怖症)は一般的に認められる状態で、以前、本邦での検討をご紹介いたしました。
■ 思ったより研究は少ないのですが、今回システマティックレビューを見つけたのでご紹介いたします。
1946年から2016年のデータベースから、ステロイド恐怖症を検討した研究結果を抽出。
重要性
■ ステロイド外用薬(TCS)恐怖症は、患者および患者の保護者持つ、TCSに関連した否定的な感情および信念を指す。
■ この現象は、アトピー性皮膚炎患者における治療失敗の主な原因であり得るが、文献にあまり記載されていない。
目的
■ アトピー性皮膚炎におけるTCS恐怖症の命名法、有病率、起源および治療アドヒアランスを体系的に評価すること。
エビデンスのレビュー
■ 1946年1月1日から2016年10月31日までの電子データベース(Ovid (MEDLINE, EMBASE), PubMed, Web of Science)を特定の適格性基準を用いて文献検索を行った。
■ 論文は、アトピー性皮膚炎患者またはそれらの保護者に対し、TCS恐怖症を評価したと考えられた。
■ 研究の質の評価は、個々の研究に対しOxford Center for Evidence-Based Medicine品質評価スキーム修正版に基づいた。
結果
■ 文献検索によって特定された490論文のうち、16論文が適格基準を満たしていた。
■ 全ての研究は横断研究だった。
■ ステロイド外用薬恐怖症の有病率は、21.0%(95%CI、15.8%-26.2%)から83.7%(95%CI、81.9%-85.5%)の範囲にわたった。
■ 恐怖心の定義は、心配から不合理な恐怖まで、大きく異なった。TCS恐怖症を評価するために使用されたアンケートには、1〜69個の質問が含まれてた。
■ 恐怖症群と非恐怖症群に対しアドヒアランス不良を比較した2研究において、恐怖症群が、アドヒアランス不良が有意に高いことが示された(49.4% vs 14.1%、29.3% vs 9.8%)。
■ 患者のコルチコステロイドに対する情報源は、医師、友人、親戚、放送メディア、印刷メディア、インターネットが含まれた。
結論と妥当性
■ TCS恐怖症の特徴はその文化全体にわたる患者によりよく報告され、アドヒアランス不良高値と関連するかもしれない。
■ TCS恐怖症を持つ患者と、患者がコルチコステロイドに関する情報を入手するソースは、治療計画のアドヒアランスを高めるための介入のターゲットとなり得る。
■ しかしながら、研究で使用されるTCS恐怖症の用語および評価方法は、標準化が不十分である。
■ 標準化された定義と方法を利用したさらなる研究が、現象をより特徴づけ、潜在的な介入の有効性を評価するために必要である。
結局、何がわかった?
✅ステロイド忌避(恐怖症)のシステマティックレビューが行われ、ステロイド恐怖症は21.0%から83.7%認められ、恐怖症があるとアドヒアランスが悪かった。
ステロイド忌避(恐怖症)はよく見られる現象であり、治療のアドヒアランスを悪化させる理由のひとつ。
■ ステロイド恐怖症は、定義がそれぞれ異なるものの、一般に認められる現象であることは以前にもお話ししました。
■ しかし、定義を一定にしないと比較も困難であり、TOPICOPという指標が使えるのではないかという報告を以前ご紹介いたしました。
■ 一方で、スキンケアを継続的に行っていくことで、多くの患者さんはステロイド外用薬を減量出来ます。
■ ステロイド外用薬を使う使わないという議論よりも、スキンケア指導とその実施を続けていただくことでステロイド外用薬を減らしていく道筋をつけていくことが重要と思います。
■ しかし、そのためには医療者も定期的に指導を繰り返していく必要もありますし、患者さんもスキンケアを続けていただく必要性があり、決して簡単ではない地道な努力を要することは以前お示しした通りです。
今日のまとめ!
✅ステロイド忌避(恐怖症)のシステマティックレビューでは、恐怖症は一般的であること、治療アドヒアランス低下の要因になることが示された。