将来に重篤な喘息発作を繰り返すかどうかの予測は可能か?

Yii ACA,  et al. Long-term future risk of severe exacerbations: Distinct 5-year trajectories of problematic asthma. Allergy 2017; 72:1398-405.

将来の重篤な喘息発作を予想できるか?

■ 例えば、感作(アレルギーに過敏になっている)場合、将来的に喘息が治りにくいことがわかっています。

7-8歳時点での動物感作と気管支喘息重症度は19歳時点での気管支喘息の持続リスクとなる: コホート試験

エアロアレルゲンに感作された成人の喘息症状は10年後も続く可能性が高い: コホート研究

■ では、重篤な喘息発作を将来的に起こすリスクを予想するための因子は何があるでしょうか。

 

 喘息患者177人の特徴を調べ、5年間観察。どのような特徴があると喘息発作を起こしやすいかを調べた。

背景

■ 将来の増悪リスクを評価することは、喘息マネージメントの重要な構成要素である。

■ 先行研究は、短期ではないが長期には及ばないリスクしか評価していなかった。

■ 好ましくない長期間の疾患コースと、持続的で頻繁な重篤な喘息増悪による問題のある喘息患者は、治療をガイドするために早期に確認される必要がある。

目的

■ 「問題のある喘息」患者における重篤な喘息増悪率の異なる臨床コースを特定し、最も好ましくない臨床コースを予測するために、リスクスコアを開発する。

方法

■ 喘息専門のクリニックに受診した177人の「問題のある喘息」患者に対する5年間の重篤な喘息増悪率を追跡した。

■ 重篤な増悪率の異なる臨床コースは、群ベースの臨床コースモデルを使用して特定された。

■ 臨床コースの予測因子が特定され、最も好ましくない臨床コースを予測するために臨床リスクスコアを開発するために用いられた。

結果

■ 3つの異なる臨床コースが発見された。

■ 58.5%はまれな間欠性であるが重篤な喘息増悪をする群(「"infrequent"=まれな」)、32.0%はベースラインで頻繁で重篤な喘息増悪があったが、その後改善した群(「"nonpersistently frequent"=非永続的で高頻度」)、9.5%は致命的な喘息の発生率が最も高い、持続的に頻繁な重篤な喘息増悪を示した群(「"persistently frequent"=持続的に頻度が高い」)だった。

過去1年間の2回以上の重篤な喘息(+2点)、致命的な喘息の既往(+1点)、ボディーマスインデックス 25kg/m2以上(+1点)、閉塞性睡眠時無呼吸(+1点)、胃食道逆流(+1点)、鬱病(+1点)から構成される臨床リスクスコアは、「持続的に頻度が高い」臨床コースを予測した(ROC曲面下面積:0.84、カットオフスコア≧3点として感度72.2%、特異度81.1%)

結論

■ 「問題のある」喘息患者は、5年間異なる臨床コースをたどる。

■ 我々は、正確に将来持続的かつ頻繁に重篤な喘息増悪を呈する患者を確認するために臨床リスクスコアを導き出し検証した。

結局、何がわかった?

 ✅過去1年間の2回以上の重篤な喘息(+2点)、致命的な喘息の既往(+1点)、BMI 25kg/m2以上(+1点)、閉塞性睡眠時無呼吸(+1点)、胃食道逆流(+1点)、鬱病(+1点)の総合得点が3点以上だと、感度72.2%、特異度81.1%で喘息発作のリスクが高いと予想できる。

 

 

 将来的な重篤な喘息発作を予想する因子は、最近の喘息発作、ニアミスの重篤な喘息発作の既往、肥満、睡眠時無呼吸、胃食道逆流、うつ病。

■ 今回のリスク因子は、一般的な臨床の中では納得できる範囲でしょう。

■ 肥満や睡眠時無呼吸、胃食道逆流は事前に対応できそうですし、重篤な発作の既往はやはり注意して見ていくべきだろうと思われます。

 

今日のまとめ!

 ✅最近重篤な喘息発作がある肥満・睡眠時無呼吸・胃食道逆流・うつ病のある患者さんは、十分注意して診療すべきである。

 

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