生物学的製剤による難治性喘息治療のパラダイムシフト~バイオマーカー(第2回/全3回)

Katial RK, et al. Changing Paradigms in the Treatment of Severe Asthma: The Role of Biologic Therapies. J Allergy Clin Immunol Pract 2017; 5:S1-s14.

重症難治性喘息に関するレビューの2回目。

■ 昨日は、難治性喘息に関し、現在置かれている状況に関してUPしました。

■ 今回は、難治性喘息に対し、生物学的製剤を使うのに必要なバイオマーカーに関するお話です。

 

 喘息に使用されるバイオマーカー。

type-2高値型喘息フェノタイプ

■ 最近の研究は、難治性喘息の免疫学的フェノタイプをさらに特徴づけようとしている。そして、それは、治療を標的治療へ導く。

■ ベルギーのSevere Asthma Registryの患者からの痰サンプルの解析は、重篤な喘息症例のほぼ半分(55%)が好酸性で、他の炎症性フェノタイプは好中球性(21%)、paucigranulocytic(18%)、混合顆粒球性(6%)であることを示した(Respir Med。2014年 ; 108:1723-1732)。

■ 好酸球性難治性喘息では、好酸球の存在が患者における支配的なエフェクター細胞であるものの、患者の喘息がアレルギー性炎症によって引き起こされることを必ずしも意味するというわけではないことは、注意を要する。

 

バイオマーカーと治療への予測反応
好酸球と呼気NO

■ 多くのバイオマーカー研究は、好酸球と呼気一酸化窒素(FeNO)に焦点を当てている。

■ 図1(前回のブログ参照)に示されるように、好酸球は明らかに炎症性免疫応答の鍵となるプレーヤーである。

■ 上皮性のストレスがIL-4とIL-13によって惹起されるNO産生につながるため、FeNOはアレルゲン曝露によって引き起こされるタイプ2炎症のバイオマーカーとして使用される。

■ 抗IL-5生物学的製剤メポリズマブ(ヌーカラ)による治療は、FeNOは減少させなかったが、血液と痰中の好酸球を減少させた(FeNOは、主にIL-13とIL-4によって惹起されるので、予想外でない)(N Engl J Med. 2009; 360: 973–984)。

■ 対照的に、抗IL-13生物学的製剤lebrikizumabによる治療は、好酸球のわずかな増加とFeNO減少に至った(N Engl J Med. 2011; 365: 1088–1098)。

管理人注;本邦でも治験が進んでいます。

■ 血液好酸球は、それ自体ではすべての場合において十分なバイオマーカーではないが、採取の容易さおよび再現可能な方法のために実用的な尺度である。

■ 血液好酸球数とFeNO値によって層別化された米国国民健康栄養調査調査の研究では、好酸球数高値とFeNO高値である患者は、現在の喘息、現在の喘鳴、喘息発作、喘息関連の救急受診が最もリスクが高いと報告した(J Allergy Clin Immunol. 2013; 132: 821–827.e1-5)。

ペリオスチンおよびジペプチジルペプチダーゼ-4

■ コルチコステロイド不応性喘息のバイオマーカーにおける気管支鏡による探索研究(Bronchoscopic Exploratory Research Study of Biomarkers in Corticosteroid-refractory Asthma)では、対照群の重症喘息患者67人の喀痰および気道組織材料からFeNO、血液好酸球数、血清ペリオスチン、IgE値と気道好酸球増加症と比較し、ペリオスチンは気道好酸球増感の感受性マーカーであることを示した(J Allergy Clin Immunol. 2012; 130: 647–654.e10)。

■ ペリオスチンおよびジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)の有用性を、抗IL-13療法であるトラロキヌマブの研究で評価した。

■ DPP-4は、ペリオスチンと同様に、IL-13によってアップレギュレートされるタンパク質である。

■ 血清DPP-4およびペリオスチンは、重症喘息患者において上昇した。多施設の第2b相試験では、前年に2〜6回の悪化を経験した重症喘息患者452人が、トロロキヌマブまたはプラセボを投与された。

Tralokinumab は、ペリオスチン上昇またはDPP-4が上昇している患者ではFEV 1を改善したが、ペリオスチンまたはDPP-4正常の患者では改善しなかった。Tralokinumabはまた、ペリオスチン高値の患者の喘息増悪率を減少させた。

承認された生物学的療法

論文から引用。バイオマーカーと治療ターゲット。

 

 

結局、何がわかった?

 ✅難治性喘息に対するバイオマーカーとして、呼気一酸化窒素、好酸球、ペリオスチン、DDP-4が挙げられる。

 

 

 難治性喘息に対するバイオマーカーは、いくつか候補が見つかっている。

■ いくつかのバイオマーカーがあげられていたものの、今のところTh2系バイオマーカーが中心で、例えば好中球性バイオマーカーは挙げられていません。

■ 生物学的製剤は、実用化されているのは好酸球やペリオスチンを目安とするものがメインです。まだこれからの部分は大きいと思われます。

■ しかし、それも生物学的製剤を使っていくためには、実際に多くの患者さんに適応されていって、さらに適切な応用が広がることでしょう。例えば、オマリズマブは元々の気管支喘息のみではなく慢性じんましんや食物アレルギーにも適応が広がる方向になりつつあります。

■ これらは、臨床応用したからこその応用拡大かもしれません。

■ さて、明日はいよいよ生物学的製剤の説明です。

 

今日のまとめ!

 ✅難治性喘息に対するバイオマーカーの検討はこれからの発展を期待する部分はあるが、まずはTh2系バイオマーカーが臨床応用されてきている。