喘息の発症を事前に予想できるか?
■ 喘息の増悪の予測は決して簡単ではありませんが、非侵襲的な(痛くない)検査で予測ができれば助かるところです。
■ 今回は、小児の喘息発作、とくにウイルス感染(風邪と言い換えても良いでしょう)で悪化するのを事前に予測するマーカーの検討をご紹介いたします。
Bjerregaard A, et al. High fractional exhaled nitric oxide and sputum eosinophils are associated with an increased risk of future virus-induced exacerbations: A prospective cohort study. Clin Exp Allergy 2017; 47:1007-13.
喘息患児81人に対し、非侵襲的検査を行ったうえで18ヶ月観察。
背景:
■ 喘息増悪の主な誘因は、呼吸器ウイルス、最も一般的にはライノウイルスによる感染である。
■ そして、一般に、2型炎症は増悪リスクを増加させることが知られている。
■ しかし、2型炎症が将来のウイルス依存性の増悪リスクを増加させるかどうかは、不明である。
目的:
■ 2型炎症がウイルス依存性の喘息増悪のリスクを増加させるかどうかを検討する。
方法:
■ 症状が安定している喘息患者は、肺活量、皮膚プリックテスト、FeNO、喀痰細胞数を検査された。
■ 患者は18ヵ月間フォローされ、喘息増悪があった場合はリサーチ部門で評価された。
■ 鼻腔で収集され検査された綿棒から、PCRによりウィルスを検出された。
結果:
■ 計81例の喘息患者が参加し、22人(27%)は追跡調査期間中の喘息増悪を経験した。
■ これらのうち15人(68%)から、増悪時に呼吸器ウイルスが検出された。
■ 試験開始時の喀痰好酸球>1%は、以降のウイルス依存性の喘息増悪のリスクが増加し(HR 7.6 95%CI:1.6-35.2; P=.010)、FeNO>25ppbである場合もリスクが増加した(HR 3.4 95%CI:1.1-10.4(P=.033)。
結論と臨床的妥当性:
■ 安定している喘息患者における2型炎症は、現実的なセッティングにおけるウイルス依存性の喘息増悪のリスク因子である。
■ 2型炎症(例えば喀痰好酸球やFeNO)の計測は、これからの研究における喘息患者のリスクアセスメントに含まれるようになるかもしれない。
結局、何がわかった?
✅18ヶ月間のウイルス感染に伴う喘息増悪リスクが、喀痰好酸球数が1%以上で7.6倍、呼気一酸化窒素25ppb以上で3.4倍になった。
喀痰中の好酸球数や、呼気一酸化窒素は、喘息発作のリスクを予測した。
■ 呼気一酸化窒素は本邦ではすでに保険適応があり、徐々に臨床現場で使われるようになってきています。
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■ 例えば、これらの検査で、秋以降のぜん息発作を予測できるようになれば、事前に治療を強化するなど、対応を変える事ができるかもしれませんね。
今日のまとめ!
✅喀痰好酸球数や呼気一酸化窒素は、風邪をひいたときの喘息発作のリスクを予測するかもしれない。