人工乳を早期に導入したほうがミルクアレルギーが少なくなる: 症例対照研究

Onizawa Y, et al., The Association of the Delayed Introduction of Cow’s Milk with IgE-Mediated Cow’s Milk Allergies. J Allergy Clin Immunol Pract 2016; 4:481-8.e2.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27157937

 


最近、ピーナッツは早期開始摂取がアレルギー予防に効果があるとする研究が報告されています。

一方、卵はまだ賛否両論ですし、ミルクはまだ出生コホート研究から、生後14日以内に人口乳を開始した群にミルクアレルギーが少ないという結果くらいしかめぼしいものがありませんでした(Katz Y,  et al.  J Allergy Clin Immunol 2010; 126:77-82.e1.)

そこで、症例対照研究ですが、生後1か月以内に人工乳を開始したほうがミルクアレルギー発症を低下させるという研究結果をご紹介いたします。


P: 龍ヶ崎済生会病院に受診した1歳以上のIgE依存性ミルクアレルギー患者(IgECMA)、コントロール、卵アレルギー患者(IgE-EA)
IgECMA: 乳製品摂取2時間以内に即時型反応歴があり、ミルク特異的IgE抗体価 0.7kUA/L以上
コントロール: 一般的な風邪または予防注射のために受診した患者
IgE-EA: 卵摂取で即時型アレルギー反応歴があり、卵白特異的IgE抗体価 0.7kUA/L以上

E: IgE依存性ミルクアレルギー患者(IgE-CMA) 51人
C1: 年齢・性別でマッチしたコントロール102人
C2: 卵アレルギー患者(IgE-EA)32人
O: 早期ミルク開始は、ミルクアレルギー発症を低下させるか

 

結果

 

”一般的なミルク摂取”は、少なくとも1日1回以上のミルク摂取と定義された(量は無関係)。

多変量ロジスティック回帰分析により、ミルクアレルギー発症のリスクを評価した。

生後1ヵ月以上後にミルクを開始した群もしくは1日1回未満しかミルクを摂取しなかった群は、コントロール群に比較して、補正オッズ比23.74(95%CI、5.39-104.52)、卵アレルギー群と比較しても10.16(95%CI、2.48-41.64)、とミルクアレルギーのリスクが高かった

生後1か月に、完全母乳もしくはほぼ完全母乳を選択している理由として「アレルギー疾患を予防するため」とした母は、CMA群3人(6.5%)、Control群2人(4.8%)、EA群3人(14.3%)のみだった。

 

コメント

 

ミルクの早期摂取開始はIgECMAの発症の低下と関連するとまとめられます

以前、わたしも、1歳未満の初診患者さんでミルクを継続して摂取している群と摂取していない群で、卵と乳感作の有意差があるという学会発表をしたことがありました。このことをどう検討すれば論文として報告できるか考えて結局断念していたのですが、とてもうまく計画されて論文化されたのを感心してしまいました。

一方で、卵やピーナッツが生後4-10か月から開始して予防効果を報告しているのに比較し、先行研究ではむしろこの時期から開始した群にミルクアレルギーが多いとされています。

食物アレルギーの予防として早期開始を考える場合、食物によっても開始時期が変わる可能性があり、さらに混沌としているといえるかもしれません。